牧冬流「蜂の子はつぶれやすかつたよなお袋」(「垂人(たると)」50・終刊号)・・
「垂人(たると)」50・終刊号(編集・発行 中西ひろ美/広瀬ちえみ)、「編集後記」の中西ひろ美は、
息は切れ足はもつれて日暮れつつ七十歳はラストスパート ひろ美
ラストスパート完了しました。最終号の「扉」は牧冬流さんの一句にしました。冬流さんを知らない人も増えましたが、二〇〇一年四月に冬流さんや仲間と共に発行した「風谷・飛沓舎」一号が今に続いているので、彼を抜きに「垂人」は終われないと思いました。(中略)同人制も会員制も設けない、自由がとりえの小誌にご尽力くださった皆様、お力添えいくださった皆様に感謝いたします。
とあり、また、広瀬ちえみは、
(前略)今年は一月から六人もの友人(うち一人は義兄)とお別れし、歳を取るということの残酷をひしひしと感じた。「垂人」を愛してくださった渡辺信明さんは二月に、ますだかもさんは五月に旅立った。「垂人」の終刊号を目前にしながら、なんということを神はするのだろう。「垂人」49号のふたりの作品。
〈柚子の実の意思のやうなる大きさや 信明〉
〈日曜はポッケリーニのメヌエット 信明〉
〈ブランデーケーキの香り冬の月 かも〉
〈青々と今も夢あり蜜柑山 かも〉
かわいらしい「ボッケリーニのメヌエット」を弾けるようになりたいと思う。
とあった。 愚生もまた、お二人と楽しい時間を過ごさせてもらった一人だ。ご冥福を祈る。その春の頃、鈴木純一(なそり)・中西ひろ美邸で捌いていただいた「表合十句」(令和八年三月三十日首尾「夕皃亭」にて)を、そして本誌・本号の作品のいくつかを以下に挙げておきたい。
表合十句
荒涼とふぶける桜草莽忌 大井恒行
みやこ忘れに切った鯉口 鈴木なそり
地震あれば遠き潮騒聞こえ来て 中西ひろ美
さればさればと海の暮れきる 恒行
月出づと翁の脇をつく媼 なそり
いてふの金にこぼすぎんなん ひろ美
からみつく黄の花片や夕皃家 恒行
酔ふて舞はうぞ屋島ひとさし なそり
綿虫に雨たいしたことあらへん ひろ美
泣きの涙のさて輸送船 恒行
ひばりからもらう一日野原券 高橋かづき
春を待つ牛の眼がこぼれさう 川村研治
カラスムギコバンソウカラスムギ喧騒 野口 裕
わたしの告白がゴミ置き場に捨てられていた 中内火星
はればれがばれてしまわぬようだまる 広瀬ちえみ
★閑話休題・・大井恒行/春風亭昇吉/マライ・メントライン/神島大輔「吟行へ行こう!」(「文春俳壇」特別編・2026年仲秋/10月29日号)・・
十月初旬、吟行場所は、文藝春秋社近くの、紀尾井町にあるホテルニューオータニ東京の「日本庭園」。以下に、当日に一人一句を挙げておこう。
太鼓橋渡れば白き秋の雲 昇吉
紅葉だつ赤子の手からアイアンクロー 大輔
モンブラン三千円の秋景色 マライ
花嫁に会う十月桜ほころびて 恒行
撮影・鈴木純一「まっすぐに線路を行こう銀河まで」↑
10月24日 ピストン堀口 没(1914~1950年)プロボクサー

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