渡辺信子「ランウェイのごとく歩けば春の土手」(第47回・切手×郵便切手「ことごと句会」)・・


  第47回(メール×郵便切手)「ことごと句会」(2023年3月18日付け)、兼題「土」1句+雑詠3句。来月から、つまり、4月第3土曜日から「リアル対面句会」の予定だという。ともあれ、以下に一人一句と寸評を紹介しておこう。


  蜥蜴出て土の匂いの影残す          渡邊樹音

  春はそこ君俯かぬ花となれ          渡辺信子

  昭和の日空からのビラ特売日         杦森松一

  揚雲雀神のメッセージを降らす        江良純雄

  一握の黄梅ずぶりと壺に挿す         照井三余

  侘助と佇む日暮れ街の音           武藤 幹

  天土と星空山河春立ちぬ           金田一剛

  春の雷真っ逆さまに逃げるわよ       らふ亜沙弥

  うばたまの夜へ花置く涙のすずめ       大井恒行


【寸評】・・・

・「ランウェイのごとく・・」ー僕自身土手は季節を問わず、ある意味花道になりそうに感じています(松一)。ランウェー。辞書をひくと、滑走路、花道、(動物の)通り道、水路…とありました。春をひもとく言(剛)。

・「蜥蜴出て…」ー毎年我が家の矢守は重なった植木鉢の一番下で二匹の赤ちゃんを育てています。蜥蜴は何処から顔をだすのでしょう(亜沙弥)。

・「春はそこ・・・」ー特選!中・下句「君俯かぬ花となれ」が、見事!調子も気分も最高!!(幹)。

「昭和の日・・」ー戦中の景と現在の景(たしかにボクの幼少のころの地方都市では、百貨店のビラなどが撒かれた)を重ねて、見せている(恒行)。

・「揚雲雀・・」ー近頃性能の進化著しい翻訳機がほしいところ。でも、雲雀語まではなかったか(信子)。

・「一握の・・」ー何があったのでしょう、ずぶりと挿したりして、一握ですからいちどきには挿せなかったのかも(亜沙弥)。

・「侘助と・・」ーようするに一重の椿の種類だが、その名から、侘しさを思うのが、夕暮れでは、付き過ぎの感が否めず、絵にならない、と思うがいかに?(恒行)。

・「天土と・・」ー春の訪れは息吹とエネルギー満載でやってくる(樹音)。

・「春の雷・・」ー春の雷は多く遠雷のような気分があるので、真っ逆さまはともかく、逃げ足は速く感じるのだろう(恒行)。

・「うばたまの・・」ーうばたま好きだった、霊前に花を献花する夜の雀の作者に我が境と同じと、とらえた(三余)。

・江良純雄の寸評があった句を一句、評とともに挙げておこう。「朝市の鱈大統領の顔のまま 三余」ー鱈の人相の悪さは政治家の頂点の大統領にドンピシャ。今ならプーチン(純雄)。



    撮影・中西ひろ美「永き日の水をもとめて芥子の花」↑

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