秦夕美「また雪の闇へくり出す言葉かな」(第4次「豈」通巻67号より)・・
第4次「ー俳句空間ー『豈』」67号(豈の会・税込1100円)、メインは第9回「攝津幸彦記念賞」。加えて特集Ⅰとして「攝津幸彦百句」(筑紫磐井選と同人よるエッセイ)、と特集Ⅱ「秦夕美追悼」。「秦夕美追悼」では、外部の執筆者・寺田敬子「秦先生の思い出」、依光陽子「雲をのむ」、遠山陽子「秦夕美さんの想い出」、加えて、昨年亡くなった宮入聖の再録で「禁忌の共同―—『巫朱華』そして『胎夢』」(秦夕美著「掌編小説集『胎夢』栞)。深謝!!!
さらに、書評については、外部寄稿で、清眞人「詩の自死なのか?―—冨岡和秀の詩的言語集『霧の本質』をめぐって」、松下カロ「風のゆくえ 髙橋比呂子句集『風果』を読む」を執筆いただいた。深謝!!!
第9回「攝津幸彦記念賞」は、今年も正賞が無かったものの力作揃いであった。準賞に選ばれたのは太代祐一「その名前」(1996年、鎌倉市生まれ))。選考委員は、大井恒行・川崎果連・城貴代美・筑紫磐井。以下に佳作4名の方々の作品とともに各一句を挙げておこう。
よくしゃべる管だ切り取ってしまおう 太代祐一(準賞)
日晒しの耳塚が聴く昼花火 斎藤秀雄(佳作)
にんげんはてふ混沌にして銀河 各務麗至( 〃)
さざ波とさざ波であふ春の耳 林ひとみ( 〃)
パスポートは期限切れ
雨具に
雨蛙は
棲んで 尾内甲太郎( 〃)
みづいろやつひに立たざる夢の肉 攝津幸彦
十六夜に夫(つま)を身籠りゐたるなり 秦 夕美
以下には、本号より「豈」新同人になられた方の一人一句を挙げておきたい。興味を持たれた方は、発売・日本プリメックス社でアマゾンでは扱っている。
片陰や半顔鬼となりにけり 各務麗至
母音ゆたかバスアナウンスのさみだるる 中嶋憲武
ふらここの「とびます」といふ枷のやう 墨海 游
ほんたうは狐なの押しくらまんぢゆう 村山恭子
初明りジュゴン鳴き出しさうな海 伊藤左知子
ちなみに、第10回攝津幸彦記念賞も選考委員未定ながら募集する。令和7年5月末日締切で、未発表作品30句、応募は郵送のみに限る、を募集する。発表は「豈」68号。
また、同人の大橋愛由等氏は昨年12月21日に急逝、山村曠氏もご家族からの知らせが届いた。ご冥福を祈る次第。
撮影・中西ひろ美「こまごまと一日ありけり神の留守」↑
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