堺谷真人「夏茶碗宇宙はいつも右回り」(「つぐみ」No.230/8月号)・・
「つぐみ」No.230・8月号(編集発行 つはこ江津)、本号の「俳句交流」は、堺谷真人「現在地」、その小文には、 短編小説を書いた。「算術の少年」と題し、去る7月六日、関西現代俳句協会のホームページに公開。小林恭二氏の小説『三鬼』出版に因んで特集を組むに当たり、シンガポール時代の三鬼をモデルにした拙作を載せて頂いたのだ。平素、俳句といふ極致の世界に跼蹐呻吟してゐる反動ででもあらうか、まるで籠から放たれた非力な小鳥のやうに私の筆はふらふらと南洋の陽射しの中を飛び回った。作中には明記してゐないが、舞台は昭和三年(一九二八)。時代の空気を感じ乍ら書きたかったので、表記はすべて旧かなで通した。迷子の小鳥はまだ帰つて来ない。今は三鬼と同時代の祖父の青年期を小説に書いてゐる。 とあった。他に注目したのは、同じ「豈」同人の打田峨者ん「『つぐみ』鑑賞(6月号より)」と伍宇「——突然 降ッテキタ 未知ヘノ 彷徨/加藤閑句集『四季』」、その二例を以下に、 山独活に似た舟に寝て死に向かふ “ウドの大木“なんて 言わないで/やわらかくて あったかいのよ そのふねにのり うつらうつらゆめ ゆらぎ (安楽椅子/一瞬/解脱/恍惚/空) 伍宇 末枯れのオルガン今は野にありし 多くの繊細孤児が現出した日本/立派に成長し 世界の 先頭にたった あの苦しみ 哀しみ 怒りを 発条(バネ)にして (手風琴=父なし児=風ノススキ原) つはこ江津「 追悼 森田緑郎さん/「ありがとうございました」 )も印象に残った。本年4月17日死去、享年93だったという。愚生が初めて森田緑郎にお会いしたのは、30年ほど前だろうか、渋谷の鬼婆こと多賀芳子宅だった。ご冥福を祈る。 ともあれ、本誌本号より、いくつかの句を以下に挙げておこう。 一握の十薬に日の燦々と 堺谷真人 風の有無にさてもさてもえのころ草 天空海士 万緑や影だけ残す人の形 夏目るんり 青鬼灯シュプレヒコール横切る ののいさむ 大縄跳び息を揃えて夏に入る 蓮沼明子 桑の実食べたふふっ思い出も 平田 薫 さそり座にオクラ並べる星まつり 宮本英司 梅雨明けに花を植えよう妻の声 ...