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小野初江「かわらのぎくよ疾く万巻の花火せよ」(「LOTUS」第56号)・・

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   「LOTUS」第56号(発行人:無時空映)、特集に「小野初江追悼号」とある。特集の扉に、 小野初江さんは弊誌第五四号小野初江誌上句集『花降る日』のひとこと(あとがき)に九五歳と記されてあるので享年は推定九六 逆算するとお生れは昭和四年と思しい「戦中戦後の長い克己の時代があり やっと解放されたのはすでに晩年になってから」(ひとこと)とご自身記すように 六〇歳を過ぎてから地元川崎の句会に参加 やがて「山河」から豊口陽子の導きにより「未定」同人に「LOTUS」の創刊同人 一時退会後第四八号より復会 前の第五四号収載の「草いきれ」 二十句が遺稿となった「かわらのぎくよ疾く万巻の花火せよ」 小野さんは私たちLOTUSの連衆にとって特別な存在であり 俳句への尽きせぬ情熱を誰よりも強く持ち続けてをられました 我々の憧れでもあり目標でもありました  とあった。 そして、挟み込まれた便りには、  (前略) この度、発行人交代に伴い同人一同で協議のうえ、LOTUSは新しい発行体制に移行することとなりました。  これまで弊誌は紙媒体を中心に発行し、関係各位へ郵送にてお届けしてまいりましたが、57号以降はPDF版を中心とした発行形態へ移行いたします。(中略) PDF版への移行により、遠方にお住まいの方、海外在住の日本語ネイティブの方にも、より速やかに弊誌をお届けできる体制を整えて参ります。 PDF版のLOTUS誌をご希望の方は、下記Email までご連絡ください。 従来どおり、無料にてお届けいたします。  とあった。ともあれ、本誌本号より、いくかの句を以下に挙げておきたい。    体内の星さわぎだす麦畑       表健太郎    内実のまだ濡れているかき氷     曾根 毅       線刻の菫   わらう   弔いの雨               三上 泉    屋根裏で生きるに慣れて偽日記    熊谷陽一       こそあどの   ことばかくあれ   ちからぐさ             酒巻英一郎    百合を埋め夜の霧なる棺かな      無時空映                  撮影・後藤章氏↑ ★閑話休題‥埼玉県芸術文化祭2026協賛事業「第48回埼玉俳句大会」の講演・大井恒行「俳句とは何か〈有季と無季〉・・     7月12日(日)、さいたま文学館・文学ホー...

早川ひろ美「いつからか捩花(ねじばな)も吾(あ)も螺旋なり」(「多摩塾句会」)・・

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 7月13日(月)は多摩塾句会(於:府中市市民活動センタープラッツ)だった。兼題は「彫」。以下に一人一句を挙げておきたい。     陽を透かす一日 (ひとひ) の衣夏椿       上阪則子    浮き彫の龍の眼玉や風涼し           富山 勉    百歳の希みを記す笹飾り            小川幸子    時鳥山雨一過の御岳山             吉田久美    虚をついて通り抜けたる夏燕かな       早川ひろ美    鬼神 (おにがみ) に泣く子もいての夏神楽    森 和子    分断の世界見つめる女神像           花見育子    出番前動悸いやます絹ごろも          中西雅子    一服の涼風渡る氷菓かな            篠木裕子    水滴の衰えのよう草螢             大井恒行  次回は、8月10日(月)、兼題は「宿」。  ★閑話休題・・もりさわてい「小説の山場の中へ初蚊来る」(「ちょっと立ちどまって」2026・6)・・ 「ちょっと立ちどまって」は、森澤程と津髙里永子の二人の葉書通信である。今回の葉書のお二人の名前は平仮名できされているので、そうした。    河鹿鳴く黒き姿を隠しつつ       つたかりえこ       撮影・芽夢野うのき「会い別る夏の花々愛でながら」↑

長澤健次「春眠のところどころに火薬臭」(第48回埼玉俳句大会・埼玉県知事賞)・・

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                杉本青三郎会長挨拶↑                    愚生↑   7月12日(日)は、埼玉県芸術文化祭2026協賛事業・主催 埼玉県現代俳句協会「第48回埼玉俳句大会」(於:さいたま文学館・文学ホール)だった。講演は愚生で、演題は「俳句とは何か〈有季と無季〉・・高屋窓秋の肉声」。  以下に、事前投句の主要句を挙げておこう。    陽炎を抜けて角あるものが来る    渡邉樹音(埼玉県教育委員会教育長賞)    野仏にかすかな湿り蝶生まる     石井喜恵(埼玉県芸術文化祭実行委員会会長賞)    笑うたび太ってしまう春大根    田中美佐子(埼玉県芸術文化祭奨励賞)    パレットは岬のかたち花菜風       川本利範(  〃   )    いい人と言われ続けて汗っかき    金子和美(  〃   )    よもぎ餅家族は二等辺三角形     鈴木砂紅(桶川市長賞)    枝豆の終れば終る話かな       小林京子(埼玉県俳句連盟会長賞)    散り出してからが桜の本気かな    渡辺智恵(埼玉県現代俳句協会会長賞)    血縁のしづかに狂ひゆく遅日    山﨑加津子(入選)    てのひらで宇宙あやつる盆踊り   宮城留美子(〃 )    笑つてしまはうかと思ひつつ耕す   田口 武(〃)    死ぬまではヒトでありたし花筏    久下晴美(〃)    当日句の高点は、    沈黙はあらがふ祈り夾竹桃      福島ときみ (1位)    凌霄花ロミオ登ってくるかしら     本橋稀香     白玉や誘惑したりしないから      小林京子    坂東太郎雷銀座貫けり         渡辺智恵   戦争もライブ配信夜の秋        日高道を         撮影・中西ひろ美「瓶の中の水の中なる蕾かな」↑

研生英午「からぢゆうひとみづと」(「鹿首」第20号)・・

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 「鹿首」 第20号(鹿首発行所)、特集は「森の気」。特集の執筆陣は、絵に井草智代「牧草地・他」、論に藤ヶ谷直美「水の巡りと生態系を編む森と木々」、天草季紅「静かな森の入口で 語り継ぐフチとエカシの物語」、小林弘明「赤塚裕二の絵画——森への通路」、早坂健伸「山水的陽水論3」、室井公美子「狼のいる境界・武蔵御岳・神社と三峰神社をめぐって」。その他の論やエッセイに中村茜「言葉を話すこと、読むこと、書くこと」、翁譲「あの街、この街を歩く/一週間シャッターをあける」、山本のりこ「私の二〇二五年のパフォーマンス」、研生英午「イマージュ・浮遊する現前の行方21/河東碧梧桐の俳句」、奥原進「観舞絵巻」、鈴木淳史「私説 井上井月 第3回」など。  ともあれ、本誌本号より、いくつかの句歌を挙げておこう。    干からびてニッポンが光りだす         水本石華    真暗闇若菊白を仄めかす            内田正美    蜘蛛の糸失せしゑろすのあみだくじ       奥原蘇丹    箪笥階段うへは開かずの荒野なり         風山人    書き初めや命一文字冨士の嶺           翁 譲    二人ゐる一人は道化師 (ピエロ) たまご粥    研生英午    燭光は夜の明けまでおやみなく稚児かくれたる海をめぐりぬ     川田 茂    隣国は仮想敵国政治灘軽々越えるJ・POPのこども         内藤隆子                撮影・鈴木純一「おつかいの牛乳パック汗をかき」↑     7 月 1 日   林明子   没   ( 1945 ~ 2026 )『はじめてのおつかい』絵

井澤勝代「死者に問ふ礎に刻む沖縄忌」(「立川こぶし句会」)・・

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  7月10日(金)は「立川こぶし句会」(於:立川市女性総合センター アイム)だった。以下に、一人一句を挙げておこう。    語り継ぐ母の引き上げ沙羅の花      川村恵子    白シャツやサイクルロード風孕み     三橋米子    春浅き朝をせかせる電子音        大澤千里    鰹鯵ナフサ頼らぬ経木かな        井澤勝代    奉献の酒樽の華夏木立          山蔭典子    笹飾り孫の名ばかりくるくるり      和田信行    炎天下サイレンの音西東         伊藤康次    夏帽子様子変わってあれ!どなた     高橋桂子    雨上がり平和な月夜響くサイレン    樺島美知子    朝日昇る海を翔びくる鷗かな       大井恒行   次回は、8月14日(金)。      撮影・芽夢野うのき「勿忘草忘れぬうちに花咲かそう」↑

塩見恵介「振レバ鳴ル缶ノドロップ終戦日」(『俳句の眼をひらく/乙女のひととせ」の世界』)・・

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  同志社女子大学日本語日本文学科編『俳句の眼をひらく/「乙女のひととせ」の世界』(ブイツーソリューション)、その生井知子「はじめに」に、   同志社女子大学日本語日本文学科では、ニ〇一二年度から、俳人・塩見恵介先生を講師として俳句の授業を開講し、毎年の成果を「乙女のひととせ」という冊子にまとめて参りました。  この授業の中で俳句の面白さに目覚めたOGたちが、卒業後も塩見先生を囲み、「乙女のひととせ」の番外編として毎月ネット上で句会を開催しております。この句会も十年以上の時を経て、いまや授業のOGのみならず、年配の卒業生や教職員、他学科の卒業生も参加する大所帯となりました。  メンバーは初心者ばかりですが、毎月、俳句を楽しみ、俳句について語り合う楽しみを味わっております。  とある。本書の一例を挙げてみよう。      靴紐を二重に結び入試の日      奥田祐子 【春】(入学時試験)入試  ◎気持ちの引き締まる感じと願掛けのバランスがとても良いと思いました。(森山由紀子)  ◎佳い眼付の句で、これぞ入試の俳句、という感じ。緊張感、気合い、いろんな感情が足下の靴ひとつで見える。(塩見恵介)   とあった。ともあれ、以下に本書より、句のみになるが幾つかを挙げておこう。    子離れの春やバイエル弾いてみる      生井知子    初出社ミーアキャットのごとく立つ     辻田真波    リラ冷えや禁帯出のラベル貼る       田邉恭子   ぺディキュアがぬるい薄暑の排卵日     佐野瑞季    月鉾を見上げるそちらの喉仏        阪中梨沙    夏の月珊瑚は卵放ちゆく          福田知子    銀河系の片隅キャンプサイトあり      松尾唯花    星涼し目尻に銀のグリッター        泉 優梨    神様がスピログラフで描くダリア      窪田理恵    ビワイチの銀輪急かす秋の雷       滝澤伊都子       (「ビワイチ」は琵琶湖一周)    博打せぬ父の提げたる副袋         粂田完菜    廊下には無数の「明日」初硯        村川歩里    雪はらむブルーグレーの空に鳶       山下祥子   心配は明日にしようか雪うさぎ      余田由香利        撮影・中西ひろ美「緑濃し雫おく場所いとわずに...

光末紀子「昼寝覚みんなどこかへ行ったきり」(『誰の眠りでもなく』)・・

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   光末紀子第一句集『誰の眠りでもなく』(朔出版)、序句は花谷清、     小鳥来る書架にフロイト三論文        花谷 清  帯文も。それには、     蛇穴を出づるを見たりアンナ・O  アンナ・Oは、精神分析の成立のきっかけとなった人物の仮名とされる。掲出句中の「見たり」は、単なる描写にとどまらず、幻影めいた気配を漂わせている。  本句集には、虚と実を往還し、その境界を問い続ける世界がある。 とあり、著者「あとがき」には、 (前略) 句集のタイトルを『誰の眠りでもなく』としたが、これはわたしが若い頃から影響を受けてきたオーストリアの詩人ライナー・マリア・リルケ(一八七五~一九二六)が、亡くなる前の年に、自分の墓碑銘のために作った短い詩から取った。リルケは晩年、日本の俳諧に惹かれ、「ハイカイ」と題する三行詩を書き、同じような形式でフランス語による詩も二つ書いている。次にあげる墓碑銘となった件の詩も、これらの三行詩と同じ圏域にあるものと言われている。   薔薇よ、おお、純粋なる矛盾、   そんなにも沢山の目蓋の奥で、   誰の眠りでもないという喜び。    解釈の難しい詩である。「沢山の目蓋」は、開き切らずに重なっていて、閉ざされた目蓋のように見える。薔薇の花弁を表していると思われる。「目蓋」のドイツ語でLider(リーダー)で、綴りは少し違うが、同じ発音のLiederが直ぐに連想される。こちらの方の意味は歌あるいは詩である。リルケ自身そのような連想を充分に意識していた。  (中略)   リルケはまた、詩とは「真に言うこと」であると言っており、そして、存在するものは真に言われることによって、存在するもの自身が思っていたよりなお一層本格的に、それ自身として存在させられるようになるとも言っている。わたしの作る俳句が、「真に言うこと」に一歩でも近づければと思う。  ともあれ、本集より、愚生好みに偏するが、いくつかの句を挙げておこう。   行く秋や何に響いて石の橋          紀子   梅の香の満ち来る過去の中に母   揺れを揺れ揺れに揺すられ小判草   醜草を引き醜草とねんごろに   梅雨空のどこかに光の蔵のあり   降ろされし亡骸になお遠雪崩   病む鳥の畳めぬ翼さみだるる   ひと駅で降りる電車や草の花   男郎花よりもほがらか女郎花   昼よりも...