谷雄介「蛇穴に入るパスワード間違へる」(『ニュース』)・・


 谷雄介第一句集『ニュース』(暁光堂)、その「あとがき」に、


 本句集は、二〇〇三年に俳句を始めてから現在に至るまで、二十余年にわたる作品をまとめた第一句集です。(中略)

 俳句を始めたきっかけは、俳句甲子園でした。それ以来、生来のサボリ癖もあって幾度かの中断期間を挟みながらも、気づけば俳句とは二十余年の腐れ縁となりました。俳句と出会うきっかけを与えてくださった夏井いつきさん、東京という街での生き方を教えてくださった北大路翼さん、「群青」の佐藤郁良さん、そしてこれまで俳句を通じて出会った多くの先輩、友人の皆様。何より今日まで俳句を続けてこられたのは、櫂未知子さんのご指導とお導きがあってこそでした。心より感謝申し上げます。

 さて、そんな第一句集ですが、同時に第二句集も刊行いたします。タイトルは『ニュース・真』。(中略)

 紙幅も尽きてきました。

「文学」としての俳句以上に、「文化」としての俳句を愛する一俳人として、これからも俳句の裾野を広げることに、微力ながら貢献していきたいと思っています。


 とあった。ともあれ、本集より、愚生好みに偏するが、いくつかの句を以下に挙げておこう。


  流氷の寄せてくるなり屏風裏       雄介

  きさらぎの電車は駅を捨てながら

  鳥帰るネクタイはみな地を指して

  夕闇に満ち引きありぬビヤホール

  秋暑し良きひとに癌育ちつつ

  秋冷やいくたびも杼を潜らせて

  宮相撲大人の部A始まりぬ

  村の名も村議も消えて大花野

  真作も贋作も売れ秋の暮

  インバネス飛び立ちさうな名前なり

  

谷雄介(たに・ゆうすけ) 1985年、愛媛県生まれ。



       撮影・中西ひろ美「その月は冷たすぎるよ寝覚月」↑

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