伊藤左知子「ラバウルを語る焼き栗剥く手指」(第176回「豈」東京句会)・・


  9月26日(土)は、隔月開催の、第176回「豈」東京句会(於:白金台いきいきプラザ)だった。以下に一人一句を挙げておこう。


  もみぢしてミノタウロスのゐる厩舎     加藤 閑  

  靴底の剥がれ花野から出れず       伊藤左知子

  否さ世に・じゅく柿と知らず啜りおり     凌

  敗兵の唐黍となり佇つ畑         杉本青三郎

  踊り場の誰も知らない秋といる      小湊こぎく

  色目あでやかなるピクルスの裸体      早瀬恵子

  杜鵑草男が吹き矢構えてる        羽村美和子

  小鳥来るその木の上のはるかの象(かたち) 大井恒行  


 次回は、12月5日(土)は、恒例の「豈」忘年句会(於:十条・ミュージカンテ周)です。(愚生注:いつもの隔月の11月最終土曜日ではありません)。



★閑話休題・・加藤閑「瑠璃色の襤褸纏ひて草の市」(「門」9月号・第467号より)・・


 「門」9月号・第467号(門俳句会)、特集は、「加藤閑句集『四季』鑑賞」、執筆陣は川森基次「〈悲しみ〉は夢の断片」、島雅子「転調を許さぬ愛の交信」、垂水文弥「出会う、追いかける、別れる」、泡水織「加藤閑の世界 多生の旅人」、桐野晃「沙漠に始まる物語」、佐々木歩「行く春や描いていない絵の隅にゐる」、三浦碧「瑠璃色の旋律」。ともあれ、本誌より、いくつかの句を挙げておこう。


  九月くぢらよ遥か喇叭を父が吹く      鳥居真里子

  妻ゆきぬ呉夫の忌なり句で送る       野村東央留

  六月の死や君の絵のなかに入る        成田清子

  聖五月仮装の我骨壺に並ぶ          村木節子

  花に鳥こども110番の家           島 雅子

  死にたいと言ふ人派手な水着干す      中島悠美子

  神奈備の白蛾となりてきみへここへ      泡 水織

  亮悦の俺おれ俳句青嵐           小湊はる子

  みづうみのそこひまなうら麦あおみ      上野龍子

  輪廻理念つかめずつつが浮巣かな                  大熊峰子

  風船や枝に遠流の王として         三上隆太郎

  今日は死にたい明日は生きたい氷水      佐々木歩

  さくら花びら風を奪へばあちら        中澤美佳

  係累の夢に落ちたり桑解く日         加藤 閑  

  石楠花の花の襞ごと山恋うる         岡本紗矢

  セーノで目ひらいて春の死ィやめよか     桐野 晃

  点字読む指先春を探しけり          上田三味

  汗の兄弟汗を日の丸の中に舐め合ふ      垂水文弥

  松明の誰を探しにゆく祭り          川森基次

  梅雨茸やとある発明ふとある死       岩橋のり輔  



        撮影・中西ひろ美「明月に荒波寄する予感あり」↑

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