佐藤鬼房「やませ来るいたちのやうにしなやかに」(「澤」8月号・創刊二十六周年記念号)・・


 「澤」8月号・創刊26周年記念号(澤俳句会)、特集は佐藤鬼房、記事に高野ムツオ・小澤實対談「雷雨を浴びまっすぐ立っている木/『佐藤鬼房全句集』を読む」(2025年12月27日、朝日カルチャー立川教室主催リモート対談の再録)、論に、小田島渚「春雷に打たれよ」、梶等太郎「飽くなき詩魂/第一句集『名もなき日夜」、周藤迪之相「辺境に立ち境涯を詠む/第二句集『夜の涯』」、井上雅惠「傷の記録/第三句集『海溝』」、オオタケシゲヲ「大地から空へ/第四句集『地楡』」、池田瑠那「地を這う鳥の矜持/第五句集『鳥食』」、佐藤涼子「土俗の人間の風景/第六句集『朝の日』」、山口刃心「鬼房五番立/第七句集『潮海』」、野崎海芋「歩き出す/第八句集『何處へ』」、木内縉太「貫ぬいてあるもの/第九句集『半跏坐』」、江藤鳥歩「行方知れたる/第十句集『瀬頭』」、村上佳乃「かんかん虫を志す/第十一句集『霧の声』」、山下希記「無心の境地/第十二句集『枯峠』」、深井十日「重さのさきにあるもの/第十三句集『愛痛きまで』」、押野裕「最後まで持ち続けた希望/第十四句集『幻夢』」。その他、一句鑑賞に各同人約50名。他の特集に小澤實『近現代俳句』刊行記念講演録、池田瑠那星野立子賞・俳人協会評論新人賞等々、第26回澤潺潺賞・澤新人賞等など。保存版の一冊。内容の紹介などは、愚生のブログでは到底無理なので、直接、本誌に当たられたい。

 ともあれ、本誌より、以下にいくつかの句を挙げておきたい


  フクイチ一時立ち入り許可証セーターの胸に垂らす     小澤 實

  この店に良き井戸ありて心天               高橋睦郎

  友手製のずんだおはぎや追ずんだ            小澤たえみ

  技術的特異点(シンギュラリティー)近しと男みかん剥く 笠井たかし

  年賀状書ける喜び米寿われ               上村ヒナコ

  祝い膳より進むビールや父百歳             牧原奈緒美

  しやきといふ石炭シャベル引き抜けば           山下希記

  野遊びの茣蓙に胡坐や授乳せる             遠藤ちひろ

  牡丹雪の滲み積もりや戦中                相子智恵

  海霧わたる野よ先行くは楸邨か              池田瑠那 

  野遊や山の陰よりキュクロプス              押野 裕

  戸籍簿の地番花野となつてゐし              梶等太郎

  森抜けて髪の湿りや西鶴忌                川上弘美

  花を詠む實もさくら友蔵も                林 雅樹

  反基地広告にわが名二ミリや冴返る          東徳門百合子

  夕立中わがをる塔も隣る塔も               町田無鹿

  緑蔭に座し聞く被爆体験談               望月とし江

    


      撮影・中西ひろ美「草の花これ以上は小さくなれぬ」↑

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