本幡楽径「グライダー行け秋天をほしいまま/グライダー行く秋天のなすがまま」(「香天」8月・通巻84号)・・


 「香天」8月・通巻84号(香天の会)、その「後記」に、


(愚生注:招待作品の)本幡楽径さんは、私の中学時代からの俳句のせんぱいであり、久保純夫さんの「儒艮」でも健筆をふるわれてきた方です。一時は俳句の筆を置かれていた時期もありましたが、友人たちとの交信やウェブ句会など、意欲的に句作を再開されています。この度、作品をまとめてご寄稿いただきましたこと、心より感謝申し上げます。(耕治)


 とあった。そのタイトルは「ペア俳句など」と題されて、2句一組の表現表記を採用されている。一例をあげると、


  夏木立律儀に齢重ねけり

  奔放に生きてさびしき夏子たち       本幡楽径


 ともあれ、本誌本号より、以下にいくつかの句を挙げておこう。


  どうやって笑ふのかしら山笑ふ       本幡楽径

  見ることのできぬ背中よつくつくし     岡田耕治

  さくらさくらこの世のことはこの世にて   夏 礼子

  炎天へ今も聞こえるヨイトマケ       木村博昭

  しらしらと光る骨片夏の風         柴田 亨

  稲を刈り石鎚拝む伊予の国         砂山恵子

  父の日や父の来ている夏座布団       前藤宏子

  さみしいから空蝉の声聞こえる       高橋もこ

  原発忌なり横たわる砂時計        谷川すみれ

  人形の眉老いてゆく熱帯夜         玉記 玉

  父の日や母の文庫の崩し文         西田唯士

  瓜咲くや揃いし母と祖母の骨       森田真理子

  ゴッホ色のミーシャと「星月夜」      三好広一郎

  お羽黒のゆるり閉じたる回向かな      森谷一成

  翻る海月を愛の旗となす          安田中彦

  通園の照度を計る五月闇         湯屋ゆうや 

  青葉青菜森に太古の海の跡         渡邉美保

  空に青あずけて瀧の落ちにけり       綿原芳美

  ふらここを高くしたまま誰も居ず      石井 冴

  


        撮影・鈴木純一「葛の葉をB面にする雨の夜」 ↑

           99  日野てる子    19452008

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