澤好摩「うたたねの畳みの縁を来る夜汽車」(「トイ」Vol.18より)・・
「トイ」Vol.18(トイ編集室)、エッセイの池田澄子「川は河へ」に、
句集、それも全句集を作りましょうという話がある。困ったものだ。誰が待っているわけでもなく自分の作を自分が読みたいわけでもない。そう言えば自分の句集を読んだ覚えがない。読んだところで知っている句ばかりだもの。(中略)
〈待ち遠しき俳句は我や四季の国 三橋敏雄〉の色紙を背にして、待ち遠しく「我」との出逢いを待ち続けた。(中略)
長生きすることの短所は、様々な所謂、先輩、そして同年の、更には少し年下の友人までもlが死に消えること。このことにうっかり油断していた。その上に「待ち遠しき俳句」は、待てど暮らせど来ぬのである。装丁は、名久井直子さんが快く引き受けて下さっているので、それはとても愉しみ。だいたいが本を作ることは好きなのだ。(中略)
思ってもみなかった俳句との人生だった。いつのことであったか夢枕に父が立って、一所懸命俳句を書いていることは、向こうから見て、知っていたよ、と微笑んで消えた景が今もはっきり見える。川は河へ、河は、満州で戦病死した父の遺骨が船と共に沈んでいる海へ流れている。新句集名は「川を河へ」にしようか。
とあった。ともあれ、以下に一人一句を挙げておきたい。
あの人かの人居らぬ此の世の熱帯夜 池田澄子
ゆづりつつ青水無月をすれちがふ 青木空知
人生に悔いはなけれど水を打つ 仁平 勝
夜の秋のおもちやの兵隊振れば音 干場達矢
★閑話休題‥濱筆治「手を繋ぐあんがい新鮮くさもみぢ」(第56回「きすげ句会」)・・
8月27日(木)は、第56回「きすげ句会」(於:府中市生涯学習センター)だった。兼題は「新」。以下に一人一句を挙げておこう。
ダリの時計汗したたらす午後三時 久保田和代
温故知新オロオロ歩く酷暑かな 清水正之
変顔の詰め放題の唐辛子 杦森松一
三角巾つって真紅のサンドレス 山川桂子
夏祭り太鼓の音から雨音に 大庭久美子
友の逝く牛追ひし野辺 ただの月 濱 筆治
つげ櫛の残り香にゐて夜半の秋 新宅秀則
夏の夜や残る炭火のフォークダンス 高野芳一
捨てろという捨てられぬのよ残暑なり 井上芳子
築山のおぼろなるかな穂草揺れ 寺地千穂
新秋のかわりばんこに生まれたる 大井恒行
次回は9月24日(木)、兼題は「影」。
撮影・鈴木純一「 蟬しぐれ
全ての音に
眼と眼と眼 」↑
8月14日 草間彌生 没 (1929~2026)


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