谷さやん「枇杷食べて改憲論はあとまわし」(現代俳句文庫Ⅱー8『谷さやん句集』より)・・
現代俳句文庫Ⅱー8『谷さやん句集』(ふらんす堂)、解説は、林桂「『芝不器男への旅』谷さやん」、坪内稔典「谷さやんの俳句を読む」。エッセイに谷さやん「窓辺の風景」「芝不器男と家庭句会」。著者「あとがき」には、
愛媛の土地柄か、祖父は翠子と号して俳句をたしなんでいた。叔母からは「女学校から帰ってきたら、上品な人が紙を並べて揮毫していたのが、松根東洋城だった」と聞いた。父は身内の冠婚葬祭に俳句らしきものを作り、短冊に書いていた。
三十代後半に地元の雑誌で坪内稔典さんのインタビュー記事が目に飛び込んできた。「俳句は高尚な文芸じゃない」と、言っている。読み終わると、なんだかスカッとした気分になっていた。これまで見たことのないような俳句にも、ときめいた。自分でも作ってみたくなった頃、夏井いつきさんのカルチャー教室が開講した。教室を飛び出す夏井さんの楽しい俳句の渦に、たちまち巻き込まれていった。
とあった。ともあれ、本集より、愚生好みに偏するが、いくつかの句を挙げておこう。
船窓のまはりは海の時雨かな さやん
紙風船より雪より遅く降りてくる
満開の花のこんなにつまらなさ
波は責めてゐるのではない桜貝
打つてから後悔したる春の釘
吾亦紅魚ひるがへる水の音
檸檬切る波は空から生まれくる
草の上に置かれて露の時間かな
雲が湧く揚羽もわれも可燃性
空席と思えば帽子漱石忌
来た順に好きにすわって花の中
泳ぐとはずぶ濡れになる海を出る
屑みかん星に名前をつけましょう
谷さやん(たに・さやん) 1958年、愛媛県松山市生まれ。
★閑話休題・・三枝三七子絵本原画展「みなまたの木」(於:国立・ギャラリービブリオ)・・
ドキュメント映画「『みなまたの木』から受け継いだバトン』(佐々木芳郎監督)制作記念/
水俣病公式公認から70年。海辺の松の木の視点で描く水俣病の物語。豊かな海と家族を襲った悲劇を通し、いのちと環境の大切さを次世代へ伝える絵本の原画展。
とあった。愚生は、同著者の『よかたい先生/水俣から世界を見続けた医師 原田正純』(学研教育出版・2013年刊)を図書館で借りて読んだばかりだった。
三枝三七子(みえだ・みなこ) 1967年,大阪府柏原市生まれ。
撮影・鈴木純一「明易し時間そっくり丸暗記」↑





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