柴田千晶「たくさんの海月たくさんの屍」(『魚女房鶴女房』)・・
柴田千晶第二句集『魚女房鶴女房』(金雀枝舎)、著者「あとがき」に、
第一句集『赤き毛皮』から、気づくと十七年が過ぎてきた。
その間、シナリオの師、馬場當さんと母を見送った。その喪失感はなかなか埋まらず、この世ともあの世とも知れない場所をたびたび訪ねてこれらの俳句が生まれた。
そろそろこちらへ戻っておいでと、手を引くものらがいて、魚女房と鶴女房の坐る花筵から、今ゆっくりと立ち上がったところ。
とあった。集名に因む句は、
魚女房も鶴女房も花筵 千晶
であろう。ともあれ、本集より、愚生好みに偏するが、いくつかの句を挙げておこう。
海女小屋の呪物のやうな鹿尾菜釜
腕と尾のはみ出してゐる春の函
皺くちやの辞表が遺書となる朧
保健室の窒息しさうな金魚かな
夏服の胸から瀆(けが)す私刑(リンチ)かな
スカートにスマホの光透けて夏
死ぬ死ぬと声の洩れくる冬障子
まはだかのをとことをんな宝船
重なつて流れてゆきぬ春の川
彼方から手繰られし髪桜の夜
蚊帳の中だんだん人の増えてくる
彼岸まで押す空つぽの車椅子
パートタイマー満載のバス朝の虹
ソープあかすり焼肉古書店黄砂降る
ずぶ濡れの愛欲しき日の桜かな
柴田千晶(しばた・ちあき) 1960年、神奈川県横須賀市生まれ。
8月21日(金)夜は、句会仲間でもある春風亭昇吉独演会「乾坤一」(於:渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール)に出掛けた(ゲストは立川志らく)。演目は、「水屋の冨」と「叩き蟹」。
終演後、同じ句仲間でもある武藤幹と今月末で店を閉めるという神宮前「うたた」(古澤謙)という店に同行した。「幹」「昇吉」の盃もあって、出された日本酒は、本日の会に因む「乾坤一」。飲めない愚生はノンアルビールに珍しい岸和田の水茄子を注文した。帰宅は数年ぶりに午前様だった(好奇?高齢者でも無理)。
次回、昇吉の会は、12月9日(水)は昼夜2公演(於:大和田伝承ホール)。
撮影・中西ひろ美「横顔を盗んでどこに隠そうか」↑



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