有賀眞澄「人魚魚人心中銀河さかしまに」(『虹のはふり』)・・・
我が定型文芸の目覚めは、秘技的志向の垂直旅行から単車の旅へと水平的可能性に踏み出す放下の自在にあった。ヰタ・マキニカリスの発動は雨風や虹をかむかふ羇旅の作に連結するのだが、旅を素材にするのではなく度に拠ってする時空の超脱による。切符を切らずに風を切るのだ。そして漂泊は漂流物との親和力と繋がり、タブローもアッサンブラージュへと転位して行くのだが、物語は全て斜めに切り 裂かれる。また断片は流れることに拠って生き返り、またよみがへる。切っても切られても墨流しの中からたち顕はれる。うつろで寄しきものに出会ふため、此処までを来てまた此処からを行く。自分が引き摺り出してきたものとの戯れを焙り出すと、たとへばブラザーズ・クエイの地下世界の光の重力に晒される。新作砂時計サナトリウム「(ブルーノシュルツ)へのオマージュ句一句を集中に挿し入れ、かつてガニメデ誌(二〇〇〇年・十八号)のクエイに献じた五十句連作の道行に我が月下跛行の旅を繋げてみむとす。
とあった。句画集とでもいえばよいか、本集より、いささかの句を以下に、愚生の恣意ながら挙げておきたい。
枯れ山の土の匂ひになりにゆく 眞澄
雪に吊られてをみなは水に戻れない
恋猫やゆ文字は文字のよぼろくぼ
はんげしやう劇中劇の紙吹雪
そこもとのそこをはらへばほうせんくわ
ひしひしと悲歌はひめもす身はミモザ
ひるがほや眼をつむらずにする手淫
有賀眞澄(あるが・ますみ) 1950年、長野県諏訪市生まれ。
★・・H to H from here to hirata 2026年9月14日(月)~9月19日(土)/月~金・12:00~19:00/土・12:00~17:00(於:K’s Gallery RoomA/ B)・・
有賀眞澄・五十嵐久美子・池田学・石原智是・岡本たかし・小山雅子・佐々木浩樹・醍醐イサム・竹内敏江・辻忍・露口実・西牧喜文・森美千代・柳田祐希・吉川千里・依田元明
K’s Gallery 中央区日本橋久松町4-6 杉山ビル4F 03-5159-0809
撮影・芽夢野うのき「ひぐらしや痛みは孤独だと気づく」↑

コメント
コメントを投稿