古田嘉彦「空中で静止する猫 冷凍でなく」(「SONUS」創刊号)・・


 「SONUS」創刊号(編集・発行人 古田嘉彦)、ブログタイトルにした「空中で静止する猫 冷凍でなく」には、以下の「前書」が付されている(すべての句は前書付である)。


今の私の作品は今まで経験した眩暈、初めてのぞっとするようなおののきに達しているだろうか。答えは否だろうが、もしそれができたなら、私は全く理解できないことを語る者となり、無の中で、虚空の中で、語る者となることができるだろう。 


「創刊の辞」には、


 SONUSは音、響きを意味する語であるが、俳句の世界に新しい音を響かせるべく、ここに創刊する。

 有季定型、あるいは定型ですぐれた作品が今後も生まれる可能性を否定するものではないが、SONUSがそれらに縛られることは無い。

 願わくは全く自由な詩想の奔流、跳梁跋扈が現れんことを。


 とあった。その他のエッセイに、ふるた「工房ノート Ⅲー1」、「永田耕衣の『狂』」。招待作家の作品は大谷清「抽象感覚俳句」。


  かごめかごめ反物質の鶴に問わる       清

  白地図が白薔薇の渦である結晶


ともあれ、以下に、「空中」から三、四の句を挙げておこう。


  どうしたら「樹」を深めることができるか。雨に打たれることか。

  線にまで細くなった杉燃えにくい            嘉彦

  五時間には五時間の永遠、密室。もう語る必要はない。

  君の首筋からはみ出している鸚鵡

  キリストが弟子たちに言った「あなたがたはこの世に属していません」は、私にも語りかけられている。やめることができない私の「神への背き」に告げ知らされるあり得ない赦し、それもこの世には属していない。その恵みの中に深く沈んでいくのだ。

  伝えたのに 鳥に固有の切り傷

  「なぜ奪われるままになっていないのですか。」そうパウロに言われ、もう私の前にも後ろにも何も存在しないところに立つことになる。

  河を発明したのに無音 見えない



       撮影・芽夢野うのき「昭和さて花屋敷新世界時計草」↑

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