樋口由紀子「空箱はすぐに燃えるしすぐに泣く」(「俳句新空間」No.22より)・・


 「俳句新空間」No.22(発行人 筑紫磐井・佐藤りえ)、巻頭は、筑紫磐井「■現代俳句協会の為の『未来俳句宣言』について――俳句が芸術になるために」。その小見出し「(2)未来俳句の方向性」には、


 「伝統」とは、ルールではなく、作品ー過去の名作(無季・自由律を含む)という文学的遺産である。そして過去の俳句で掬いきれなかったものこそ未来「新しい自由な俳句)がある。既存の俳句——それがどんな名作であっても、それを操作するだけでは決して「新しい自由な俳句」生まれない。我々は、過去に見たことがない風景を見たいのだ。(中略)

C、【参考】筑紫磐井の宣言〈設計〉

 詩、とりわけ俳句はー

⓵一行があまりにも長い。四文字ないし三文字で十分だ。

 文法は要らぬ。名詞・動詞だけで辛うじて伝達できる。/文語・詩語、誤字・脱字・誤用の駆使も一行を更に短くする。

②一行の中でたやすく(部分的)類想が発生する。だから全体の模倣も否定せよ。

③隣る二行は連想を結合する。

 行の谷間を極大にせよ、隣人は背くべきである。

④一行ですべてを述べ、全体の構想を断ち切ろう。偶然がいつか全体を語るはずだ。

 〈総括〉/律(形式)を自由に。/〈作品〉

  皇(すべ)る手              磐井

  激(たぎ)つ水門(みなと) 

  吾(あ)と無

  屍に美


 とあった。ともあれ、本誌本号より、樋口由紀子追悼句(豈同人作品)を挙げておきたい。


  あの人の居ない姫路の花便り       池田澄子

  溌溂よ天守閣から下りてきて       岡村知昭

  房重き宇宙の葡萄堪えるや        北村虻曵

  晴女いつもとなりで笑つてた       堺谷真人

  春泥に汚さぬ下駄のひとそろひ      筑紫磐井

  陽炎のあなたの君も明からむ       橋本 直

  早すぎないか式服干すのが        藤田踏青

  木の根走るところは晴れて         振り子

  死にますか山のかなたに服を干し     堀本 吟  

  貴女なら数多のこたへ竜の玉       村山恭子

  ゆうるりと逝かず急ぎし紀元節      大井恒行

  ラメ入りのめるくまーるがよく似合ふ   佐藤りえ


 その他の同人作品からいくつか・・・


  赤子ギャン泣く若返りが止まらない    加藤知子

  冬ざれや息はしづかに風になる      各務麗至

  鳩吹けば箒に乗つてやつてくる      神谷 波

  国家とか国旗とかもう福笑        川崎果連

  茅花野に夫婦とならぬふたり居る     妹尾 健

  見せ消ちや桜隠しに戦争画        高橋修宏

  白障子ゆるり五情離れゆけり       田中葉月

  出世魚のきれいに食われ万愚節     なつはづき

  空蝉を開けて数人救い出す        夏木 久

  春の月二層の雲を従へり         中嶋憲武

  けふの愛きのふの愛も棚霞        墨海 游

  無条件降伏 被曝の前提        川名つぎお

  ずっと鬼それでも散らぬ深紅葉      清水滋生



      撮影・鈴木純一「追いかけて恋も風雅も走り梅雨」↑

615    伊藤エミ(ザ・ピーナッツの姉の方)澤田 日出子 没(19412012

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