小野初江「花降る日はるかをたたむ水の音」(「LOTUS」第54号より)・・
「LOTUS」第54号(発行人:酒巻英一郎)、特集は「小野初江誌上句集『花降る日』評」。
誌上句集『花降る日』の評は、田中泥炭(ビート)「鶴の連理のそして宙―—小野初江『花降る日』句集評―—」、いなば也(なり)「境涯に立つ小さきものよ」、志賀康「小野初江誌上句集―—その深層をさぐる」、他に各同人による一句鑑賞がある。誌上句集の巻末の「ひとこと」には、
(前略)これが出版されます頃、私は九十五歳、学齢まで生きられないと医師に宣告され、祈祷師から字名をもらったほどの虚弱児がこれほど存える不思議、気づけばそれはひとえに俳句によって生かされているという事に尽きるのでした。
他に追悼記事として「追悼 奥山人」には、
悼
パリ在「LOTUS」同人奥山人(本名 奥山公一・きみひろ)は
去る令和六年四月八日逝去いたしました。享年七十七
深くご冥福を祈りたいと思います 合掌
LOTUS発行人
奥山さんは一九四六(昭和二十一)年十月六日 東京生
十八歳にして単身渡仏 美術商 美術関連の出版を営む
生前漢字字形を解体し多行俳句作品を成した句集『字貌字声集』(自家版)没後刊行に『パリ ある日』あり
「LOTUS」には第四十九号(二〇二二・二)より参加
とあった。ともあれ、本誌本号よりいくつかの句を挙げておこう。
探偵は寡黙美しき失踪家 三上 泉
骨肉の意味に沁みいる月かり 奥山人
畦道はあの子が踏んだ草いきれ 小野初江
千年後月光の髪切り落とす 表健太郎
月宮や姫あじさいの黒しずく 九堂夜想
青と青の間(あわい)に残る青 熊谷陽一
古暦より遠(おち)のさきなる沼明かり 三枝桂子
あめふらし
くじればあめの
いたるかな 酒巻英一郎
連山の音便として鷹の舞 志賀 康
雑排と婬酒に溺れ藤袴 曾根 毅
発泡性の駅を 放し飼い・・(思惟) 古田嘉彦
鮟鱇を吊るし切りして『月光口碑』 松本光雄
殷々と
溶ける梵鐘
白蛇の群れて
津波かな 無時空映
ふきのたふふたりふれなばふれにけり 丑丸敬史
撮影・芽夢野うのき「もしもしはいはい春か春です」↑

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