酒井弘司「冬青空永遠というひびきあり」(「朱夏」178号・30周年記念号)・・


 「朱夏」178号・30周年記念号(朱夏俳句会)、巻頭の座談会は、酒井弘司・中岡昌太・米山幸喜「新風に立つー『朱夏』創刊三十周年を迎えて」。寄稿には、井川博年「『朱夏』三十周年で思うこと」、八木幹夫「エッケー・ホモー!(この人を見よ!)」、前田弘「伊那谷への想いー『朱夏』三十周年で思うこと」、筑紫磐井「『海程』創刊への激励」、大井恒行「『朱夏』三十周年記念号に寄せて」、中上哲夫「米国詩人たちを虜にした俳句」があり、また酒井弘司の記念講演「人間探求派の系譜ー金子兜太、森澄雄さん」の講演録の詳細な内容が掲載されている(貴重である)。

 その他、「編集後記」に、


 今号は、「朱夏」の三十年の歩みを詳細に記録。原稿の作成は手間どったが、後世に残す資料として万全を記した。


 とあるように、「『朱夏』の三十年ー『年次大会』・『朱夏祭』」、「『朱夏賞』受賞者と作品(抄)」、「『朱夏新人賞』受賞者と作品(抄)」、「『功労賞』」、詳細な年表に「『朱夏』の歩み(創刊号・平成6年8月~一七七号・令和6年10月)」、土肥あき子「八月という記憶ー『朱夏』176号を読む」など、充実、保存版の趣である。今後も堅実に、かつ「俳句らしい俳句は作らないように」、「深」にして「新」の道をこれまでとおり歩まれるに違いない。ともあれ、以下に、本誌より、いくつかの句を挙げておきたい。


     谷川俊太郎さん逝く

  かなしみは花柊のむこうから      酒井弘司

  南無大悲炎夏の無事を観世音      後藤田鶴(第18回朱夏賞)

  二千年生きて楠大暑かな       紀平千寿子(第21回朱夏新人賞)

  ブラームス天より恋を降らしをり    佐々木登

  こすもや風の妖精色散らす       佐藤仁子

  秋ざくら弘司節子の頬染めし      鶴田静枝

  風神の脈打つ木の実拾いけり     内藤ちよみ

    祝『朱夏俳句選集Ⅲ』

  生きてゐる個性輝く秋の星       中岡昌太

  神無月どこにも神の居ぬ地球      和田義盛

  雪虫に紛れ挨拶交はしをり       米山幸喜

  ピザふたり欠けてゆくさま霜降月    飯田香乃

  遠ざかり光れるものを星と云ふ     磐井靖子



     芽夢野うのき「冬枯れのからくれないのなかに返す」↑

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