鶴田静枝「こびと吹くラッパ聞こえし星月夜」(『花林檎』)・・


  昨日の「朱夏」30周年つながりで、鶴田静枝第二句集『花林檎』(草土社)、解説は酒井弘司「あらたな地平へ」、その中に、


 (前略)句集名は、集中の一句、

   見てねには見たよと返す花林檎

 から採られたもの。

 鶴田さんからぼ私信では、「青森で見た林檎の花が可愛かったので」とあった。

 この句は二通りの読み方ができる。一つは、眼前の林檎の花から「わたしを見てね」と声をかけられ、即座に「見たよ」と返事を返したという意。もう一つは身近な人、娘さんであろうか。電話で「いま、林檎の花がきれいだから見て」と言われ、「見たよ」と返した返事。

 青森県でも弘前市の周辺は林檎畑が多い。薄紅色のそそとした林檎の花は、どこか清楚で可愛らしい。


 とあり、著者「あとがき」には、


 (前略)また、句集『花林檎』の章題は、我が家の庭の愛着ある草木の名にしました。越して来てより数十年、庭の草花は自由に居場所を移動したり、鳥や風が種を運んで来たのか新たな花が咲いたり、絶えたり、……草木自ら我が家の庭を造ってくれています。山桜だけが、隣家の庭のものです。相模川を挟んで立つ山には、緑樹に混じり所々ふあっと薄ピンク色の山桜が見えて、それは「まんが日本昔ばなし」のようで、心洗われます。


 とあった。ともあれ、集中より、愚生好みに偏するがいくつかの句を挙げておこう。


      朱夏同人代表 川嶋隆史さん 追悼

   見てゐますか冬の螢のひかり方           静枝

   竜巻通り過ぎ開戦日近し

   五能線夏の終りを走りけり

   寒昴戦火の涙みえますか

   「朱夏」百七十号より海鳴りして九月

   道よ 照らして遠き烏瓜

   冬来る犇めくライブハウスの灯

   生まれ来しものみな奇跡去年今年

     「一(いち)よし」…輪島朝市輪島塗店

   「一よし」の母さん無事か春寒し

   明日葉は明日も生(な)る生りいとまなし


 鶴田静枝(つるた・しずえ) 1961年、横浜市生まれ。



★閑話休題・・北村宗介展「風の記憶」(於:GALLERY HIPPO・10月13日、17時まで)・・



  秋晴れの千駄ヶ谷駅から徒歩8分のところ、地図を読めない男の愚生は、鳩森神社の周辺を、お蔭で色々な所を散歩することが出来た。

 愚生のかつての句集名は『風の銀漢』だったが、こちらは「風の記憶」である。アクリル、墨、水彩、和紙など、愚生好みの小品が多い。石の色々な面を使っての篆刻も印象深かった。



            鈴木純一「独裁を倒したあとで考えろ」↑

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