三宅やよい「夢殿の声を聞かずや鳥の耳」(『三宅やよい句集』)・・
現代俳句文庫Ⅱ『三宅やよい句集』(ふらんす堂)、著者のエッセイ「勝手に一歩」。解説に池田澄子「『船団の俳句』三宅やよい」。一句鑑賞などに、坪内稔典・あざ蓉子・内田美紗・小西昭夫・南村健治・本村弘一・穂村弘。エッセイ「勝手に一歩」(「WEP俳句通信」2018年10月号・再掲」)の中に、
(前略)時代は変わっていくのである。
いま俳誌の経営と経営を支えている六十代と七十代が老いて結社の屋台骨を支えきれなくなったとき俳誌の多くは滅び、俳句媒体の形は変わるだろう。俳誌に代わる新しい俳句の顔が出現したとき、かつての私のようにまったく俳句に縁のない人間を呼び込む新しい入口が開かれるかもしれない。
とあり、また「あとがき」には、
俳句を始めて二十数年、思いがけずに現代俳句文庫に加わることができました。
大阪で坪内稔典先生と出会い俳句への道を開いていただきました。先生は常に私を励まし見守ってくださいました。東京では詩人の清水哲男さんから広く俳句を読む楽しさを教わりました。
とあった。ともあれ、本集より、愚生好みに偏するが、いくつかの句を挙げておこう。
手をつなぐソラマメみたいな双子です やよい
春愁もぶちこんじまえ紙袋
木に登る少年は老い夏木立
くらがりに靴のふえゆく花野かな
三組の窓の前だけ花盛り
かばんよりかばんとり出す花の昼
帆柱に帆のなき建国記念の日
嵌め殺す海より碧き色硝子
コスモスの野を運ばれてゆくソファ
右京から左京に渡るホッカイロ
湯にのばす赤子のからだ牡丹雪
出るおっぱい出ないおっぱい春の月
玉葱を引き抜くからだ軽くなる
星涼し次々たたむパイプ椅子
生きている人が集まる菊日和
良夜かな足音のない土の道
三宅やよい(みやけ・やよい) 1955年、神戸市生まれ。
撮影・芽夢野うのき「秋空を遠く放ちていまはうたたね」↑

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