月波与生「のこぎりはやっと切りたいものに触れ」(『ライムライト』)・・


 月波余生第一句集『ライムライト』(満天の星)、著者「あとがき」に、


  川柳を発信するために川柳社『満天の星』を立ち上げて二年、ようやく第一句集をまとめることができました。これからの残り少ない時間、年に個人句集とアンソロジーを各一冊、川柳誌「川柳の話」を二回発行し、広く川柳を発信しながら生きていこうと思います。

 句集のタイトルである「ライムライト」はチャップリンの映画からです。印象的な台詞「生きることを怖れなければ人生はすばらしい。必要なものは、勇気と、想像力、そして少しばかりのお金なんだよ」はそのままチャプタータイトルとして使わせていただきました。


 とあった。また、タイトルに因む句は、


  きみと見るライムライトのような月      与生


であろう。ともあれ、愚生好みに偏するが、本集より、いくつかの句を挙げておきたい。


  稜線を見せ合う初めての人と

  謝らぬ猿の乾電池を換える

  笑ってる写真が少なくてわらう

  持ち寄った白をみんなでたしかめる

  十月の雨に既読が付いている

  さてどうするかをダンボールで作る

  ふりがなを付けると味方らしくなる

  裏声で飛ぶ八月の戦闘機

  猫の鈴残して自己弁護終わる

  ヒロインはいつも非常口を持つ

  三半規管に自衛隊が詰まる

  絶対音感で(イジメハアリマシタ)

  二十世紀のしりとりだから休めない

  人形の家では死語だけで話す

  むらさきもけんもほろろもけむりかな

  

 月波与生(つきなみ・よじょう) フリーランスな川柳人。


    撮影・中西ひろ美「ある晴れた日の思い出は隠れがち」↑

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