瀬戸優理子「白ふくろうブレインフォグを抜けて来た」(「第5回口語俳句 作品大賞顕彰/記念(誌上)俳句大会」)・・
「第5回口語俳句 作品大賞顕彰・記念(誌上)俳句大会」(主催 口語俳句振興会・後援 現代俳句協会)、巻頭エッセイは、田中陽「新興俳句『天の川』の復活」。誌上講演には、木村聡雄「外国語俳句の中の可能性—世界へ向かう俳句―」、大井恒行「俳句に何が可能か?」。木村聡雄講演、外国語俳句にうとい愚生などには、極めて親切に、分かりやすく話されている。その中に、
〔外国語俳句のはじまり〕
海外の俳句というと、日本の俳句とは違っていてあまり興味がないと感じていいる方もいるかもしれません。(中略)俳句という詩形が海外に紹介されたのは百年以上も前です。開国後の明治政府は西洋文化に追いつこうと英仏などから各分野の専門家を招聘しました。我々が西欧文化に接して目を見張ったと同じように、実はこのとき招聘された外国人たちも彼らにとって新しい極東の文化と出会ったのでした。彼らが西欧に伝えたその新たな価値観の一つが俳句です。(中略)
フランスでは浮世絵が「発見」されパリ万博(一八六七)でも展示されて、印象派などに多大な影響を及ぼしたことはよく知られています。(中略)
〔季節の詩か〕
海外の俳句について疑問が生じる最大の理由は「有季定型」の問題ではないでしょうか。季語、季題という概念は日本独自のものなので、誰もが想像する通り、日本語以外の外国語では歴史的に広く用いられてきたものは存在しません。もちろん、西欧でも春を待ち望み、春の喜びを表す感覚は存在します。(中略)
〔定型〕
最初期の俳句紹介者アストンは、俳諧の発句の五七五を「三行の自由詩」に英訳しました。これが今日まで外国語俳句の基本形となっています。(中略)なお、世界のこの形式の例外としては、日本と同じ漢字圏である中国の「漢俳」があります。漢俳はご存じのように漢字のみで五七五十七文字の定型です。その漢字十七文字の内容は俳句というより短歌以上に説明的であるため、「漢俳」は外国語俳句のなかでは特殊と言わざるをえません。いずれにせよ、海外俳句の大部分は三行詩ですが、これは行数の問題であって定型詩ではありません。外国語で五七五(シラブルなど)の定型のリズムがほとんど用いられないことが何よりの原因でしょう。(中略)さらに、それぞれの外国語においてこの五七五のリズムが必ずしも心地よいものとは言えないこともあるでしょう。(中略)
〔結び〕
海外の俳句は日本のものとは異なるところがあるとはいえ、「俳句」を詠むという意識をもって書かれています。それは俳句や日本文化に対する世界の人々の志向を表現したものなのです。
とあった。ブログタイトルにした瀬戸優理子「白ふくろうブレインフォグを抜けて来た」の句は、記念(誌上)俳句大会で、愚生が特選に選び、寸評をしているので、以下に引用し、合わせて、他の句の特選句を選者とともに挙げておきたい(カッコ内は選者)。
***ブレインフォグ(脳の霧)は正式な病名ではない。フクロウ(白ふくろう)はギリシャの神話の智恵の女神だから、この取り合わせは少し理屈っぽいところがあるが、語呂合わせで福老、不苦労もあるからヨシとしよう。
冬銀河やがてなくなるわたしたち 石川夏山(植田次男選)
風花の残像言葉が足りません 西崎久男(安西 篤選)
未来とはどんなところか跳ぶうさぎ 植田いく子(萩山栄一選)
玄関に憲法九条が散らかっている 内田賢一(田中 陽選)
淑気満々金波銀波のメガソーラー 金子未完(長井 寛選)
中国外交ぼくは孔子に尋ねたい 田中 陽(谷口慎也選)
冬の星が監視カメラとなっていた 小林万年青(飯田史朗選)
独楽回る 宇宙にはない西東 田中葉月(金澤ひろあき選)
雪虫や痛いの痛いの飛んで行け 夏 礼子(前田 弘選)
風花の残像言葉が足りません 西崎久男(安西 篤選)
未来とはどんなところか跳ぶうさぎ 植田いく子(萩山英一選)
夜のメロンは世界を編んでいる 神山姫余(秋尾 敏選)
★・・第6回 口語俳句 作品大賞募集・・
・募集作品 20句(一篇)2021年以降現在までの作品
既発表・未発表は問わない(前回出句の作品は不可)
・参加資格 制限なし
・締切り 2023年9月20日(水)
・費用 2000円。句稿に同封または郵便振替(〇〇八七〇ー八ー一一〇二三 口語
俳句協会)にて
・要領 B4 400字詰原稿用紙一枚に書く(ワープロ可)。右欄外に表題を書き、20
句(そのままが、選にまわります)。別の200字詰原稿用紙に表題。作者名。
所属(なければ無しと)・郵便番号・住所・電話番号を明記
・選考 選考 公開選考委員会を十一月、静岡県島田市にて開催
・授賞 作品大賞 一編 賞状。賞盾・賞金5万円
奨励賞若干篇 賞状・賞盾
授賞式は翌年一月、島田市にて開催予定
・発表 口語俳句振興会会報「原点」第十四号誌上
・送り先 〒422-8045 静岡市駿河区馬渕2-1-10ー703 萩山栄一方
口語俳句振興会 事務局 電話FAX・054-281-3388
撮影・中西ひろ美「白はいいね誰が触れても忘れても」↑
コメント
コメントを投稿