鳥居真里子「瑠璃色に生まれ変はつて夜霧売り」(「現代俳句」9月号)・・
「現代俳句」9月号(現代俳句協会)、本号の特集記事は「第81回現代俳句協会賞・鈴木牛後 対馬康子」。巻頭エッセイ「直線曲線」は谷口慎也「必然としての異形・異体」、「俳句と私」は石橋いろり「晶子忌『君死にたまふことなかれ』に寄せてー東京多摩地区句会より」等。 第81回現代俳句協会賞の選者の一人、井口時男は戦後評「『鄙』の魅力と活力」のなかで、 (前略) 引用では省略したが、本書 (愚生注:鈴木牛後句集『鄙の色』) の俳句はすべて総ルビである。そのことへの疑念も呈されたが、ルビは日本語書式の見事な「発明」なのでけっこうなことだし、「内輪」の慣習になじんだ(なずんだ)俳人たちが忘れがちな初々しい「外部」の視点を筆者が保持していることの証明でもあろうと思う。これも大事なことだ。「漢字検定」みたいな俳句には私もうんざりしているのだ。 また、鈴木氏がすでに角川俳句賞を受賞されているという指摘があった。しかし、自選五十句での評価と一冊の句集全体の評価に大きなずれがあるのは今回の選考で実感したことだ。本賞はあくまでも句集が対象なのである。 なお、すでに十分な実績のある対馬康子氏『百人』の同時受賞は妥当だろう。 とあった。ともあれ、本誌本号より、以下に、いくつかの句を挙げておこう。 億千の声を殺して夜葛這う 渡辺誠一郎 戦中の黒き機影か夕焼雲 中村和弘 永遠に水澄む水の陽の魚 鳥居真里子 たうもろこし畑の風に顎が浮く 黒岩徳将 いつも薬子と遇ふのだ鷺の森あたり 中烏健二 天日 (てんぴ) にんげんをそうぞうしなおしてください 大井恒行 大寒や武器の前駆として鎖 鈴木牛後 柿の実や言葉すべてに被曝して 対馬康子 日々に詩が消えても夏海は綺麗 岡田侑楽 なにか変はるだらうかタワーから飛び込めば 羊 洵 文化の日ひかりで寝室を洗う なつはづき 七日好摩八日重信雲の峰 林 桂 石あれば石を温めレノンの忌 花谷 清 綿虫やねえ行かうよと誰の声 ...