村上喜代子「燕去月みづの行方を少し追ふ」(『刻印』)・・
村上喜代子第六句集『刻印』(本阿弥書店)、帯には、 俳句は心の日記であり刻印である その時その時の出来事や心情が、生きた証が、句を読み返すとありありと甦ります。—— 林火抒情を継承、師の歌枕を追って旅を重ね、日々の「生きた証」を刻印し続ける著者。昭和百年、戦後は八十年という大きな節目に送りだす第六句集 とあり、また、著者「あとがき」には、 醍醐句集『軌道』上梓後、主宰する「いには俳句会」は創刊十五周年、さらに二十周年の記念祝賀会を行い、昨年の令和七年五月、二百号記念号を発刊することができました。その間、コロナ危機等もありましたが、順調に回を重ねることができましたことを感謝したいと思います。昨年は、昭和百年、戦後八十年という大きな区切りでもありました。ここで自祝の心込めて、第六句集を上梓することと致しました。 (中略) 句集名『刻印』は〈原爆ドーム灼けてあの日を刻印す〉からの命名ですが、俳句は来し方の心の日記であるとの思いからでもあります。その時、その時の出来事や心情、生きた証が、句を読み返すとありありと甦ります。 とあった。ともあれ、本集より、愚生好みに偏するが、いくつかの句を挙げておこう。 戀の字をばらならにして囀れり 喜代子 妙法蓮華経南無南無種茄子 走つてもいい歩いてもいい夏野 はつゆきのにほへるいにはこほりかな 師には無き傘寿なりけり明易し 直情は長州の血よ竜の玉 耳遠き傘寿八人うららけし 晶子忌や詠みて吐き出す気のふさぎ 慰霊の日英語日本語沖縄語 会の主要な行事に晴れること多し。これを「いには晴れ」という。 色鳥のにぎにぎしくていには晴 聖夜乾杯被団協会平和賞 一本の冬木に日裏日の面 清明の野にみづ車かざ車 化石句碑「松虫草今生や師と吹かれゆく」 緑蔭に鉄之介筆化石句碑 白玉や老いてしみじみ母の老 虫時雨遠き戦火に慣れもして 立冬や山の後ろに山があり 一本に千のまぼろし里桜 村上喜代子(むらかみ・きよこ) 1943年、山口県下関市生まれ。 ★閑話休題‥没後50年「髙島野十郎展」(於:渋谷区立松濤美術館~9月6日・日まで)・・ [ 芸術は深さ (・・) とか強さ (・・) とかを取るべきではない、「諦」である ↑ ...