いたまき芯「『蛇』といふ間に蛇は隠れけり」(『次の音~音数で引く季寄せ風~』)・・
いたまき芯句集『次の音~音数で引く季寄せ風~』(創風社出版)、帯文は坪内稔典、それには、
揚雲雀そこらは土器の出たところ
三月のコアラ尻からずり落ちて
空にとどまって鳴いている雲雀(揚雲雀)、その雲雀の下の大地からは大昔の土器が出た。雲雀はその土器のかけらかも。尻からずり落ちたこあの可愛くておかしいこと!いたまき芯さんの俳句は575の言葉の空間が広くて明るい。そしてなんとも楽しい。
とあり、著者「あとがき」には、
小さい頃、「いただきます」を「いたまきし」と言っていたそうだ。私の俳号「いたまき芯」の由来である。名前を書く時も平仮名を左右・上下に反転する逆さ文字を書いていた。どうも言葉を音や形で感覚的に覚える子だったようだ。
大人になってから印象的な出来事があった時だけ日記のように俳句を詠んだ。「翡翠を初めて見たよ楽寿園」「車窓から『私ここよ』と木蓮が」「輝いて花水木のなか祖母が逝く」「北風が『まる』をお空につれてった」「まる」は犬の名前である。(中略)
題名は掲載句の中から『次の音』とした。この句集の句は、季語の音数、あいうえお、の順に並べた偏りのある季寄せ風であり、句を探す時や句を作る時に良いのでないかと思う。(中略)
これからも小さい頃の感覚を大切にしながら『次の音』を詠んでいきたい。
とあった。集名に因む句は、
霜柱わたしが次の音になる 芯
である。ともあれ、本集より、愚生好みに偏するが、いくつかの句を挙げておこう。
ちくわ切る春の出口へ先回り
鳥の巣を見ていたバスがいっちゃった
風船やあをぞらみんなコピぺして
遠花火ハーブの弦の切れる音
木洩れ日の滝かと思う夏の杉
米の字にホットケーキを切る月夜
鶏頭を手向ける鳥の墓あたり
椎茸を干すおとといの新聞紙
椋鳥の群れメビウスの輪のように
置き去りの声は消えない秋の暮
朗々と海より大晦日の日の出
さびしさの果てのまぶしさ冬紅葉
ねんてんの芯へ三寒四温かな
いたまき芯(いたまき・しん) 1969年、静岡県焼津市生まれ。
撮影・芽夢野うのき「曇天の夢見ごこちの花ひとつ」↑

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