山本敏倖「にんげんを真一文字に泳ぐかな」(「山河」創刊400号記念号)・・


 「山河」創刊400号記念号(山河俳句会)、山本敏倖「『山河』四〇〇号を迎えてー新しい一歩をー」に、


 今号で「山河誌」は創刊四〇〇号を迎える。/四〇〇号と一口に言っても、その来し方は想像を絶するものがある。

 単純計算でも「山河」は隔月発行なので、一年六回。四〇〇を六で割ると約六十年と数か月になる。創刊は昭和二十四年二月。令和六年(二〇二四年)に、創刊七十五周年を記念している。計算が合わないのは一目瞭然。それこそが、苦難の歴史を物語っていると言えよう。

 代表が長かった二代目代表加藤あきと、三代目代表松井国央、四代目代表山本敏倖の時は、隔月刊は滞ったことはない。注目すべきは初代代表小倉緑村の時代まで遡る。いわゆる「山河」草創期の頃、まだ充分な同人が集まらず遅刊や休刊が何度か生じたことを、すでに鬼籍に入った同人の方から漏れ聞いている。そんな時でも初代代表小倉緑村は、私財を投げ打って同人誌の形を維持したという。(中略)

 最後に創刊二〇〇号記念(平成五年二月一日号)の小倉緑村の巻頭の言葉を引いて結びとする。

「・・・・・我々はより深い精神位相確立のために新しい一歩を踏み出します。創造の愉悦を分かち合うために産みの苦難は当然のことですが、そこに文芸本来の意義を確信する次第であります。」

 この精神は現在も変わることなく継続されている。


 とあった。ともあれ、本誌本号より、いくつかの句を挙げておこう。


  隊列に放馬(うま)は冷たく眼を開き     小倉緑村

  うぐいすの領抜け出るまでの時間かな    加藤あきと 

  八月や白紙に任意の点を置く         松井国央

  ちぎり絵の余白に春を入れておく       山本敏倖

  良夜かな介護ロボットオフにして       秋谷菊野

  柿熟れて天に無用の時間軸          穴原達治

  超新星宇宙に浮かぶ仕舞旅          新井喜久

  中心は過去に傾く寒卵            泉 信也

  銀座線降りて秋思に乗り換へる        一井魁仙

  気紛れな水おどらせて波の花         絲布みこ

  憂国忌皿に分厚きミルフィーユ       植田いく子

  わたくしを置きっ放しに夕花野       宇田川良子

  百日紅我が人生のロスタイム         榎並恵那

  かごめかごめ反物質の鶴に問わる       大谷 清

  青すだち故郷ぎゅっと絞り出す        岡田恵子

  秋澄むや野は水平に生きている        小倉正樹

  綿菓子の生まれてきたる遅日かな       加藤右馬

  水かがみ鳰のひみつの裏おもて       栗原かつ代

  大方は何ものでもない蝌蚪の紐        小池義人

  風葬ならここ寒紅買っておく        小林十六夜

  乳飲み子に乳は足りたか敗戦忌        近藤喜陽

  探梅や核のボタンはそのままに        高橋透水

  しゃぼん玉こどもは時間を使い切る      土屋秀夫

  南国仕立てのチョッキそれから待ちぼうけ 津のだとも子

  分類はヒト科の雑種懐手           中山愚海

  形容詞カリ活用の養花天           新倉村蛙

  一本の杭に一個の元旦来           吉田慶子



★閑話休題・・狂犬バクシーン+中野真樹子「『けものけだもの医師・なかのまきこ犬を吠える』お話会」(於:阿佐ヶ谷・よるのひるね)・・



 関東も梅雨入り、昼過ぎ、狂犬バクシーンこと末森英機とのお話会に出掛けた。犬にまつわる絵本の朗読とあい間に、ヒデキ・スエモリの歌を聞いた。終わって店を出ると雨が降り出していた。

       撮影・芽夢野うのき「祭過ぎ烏過ぎたり谷中かな」↑

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