櫂未知子「轢死またひとりの歴史晩夏光」(「現代俳句」7月号)・・
「現代俳句」7月号(現代俳句協会)、巻頭エッセイの「直線曲線」は山﨑十生「我逢人」。その中に、
一 関口比良男/私は十六歳で「紫」の門を叩き、関口比良男が天に召されるまで師事し、公私に亙り面倒をみて戴いた。関口比良男の存在は、私自身の中で大きなパーセンテージを占めている。俳句結社の運営や編集のこと。芸術一般まで幅広く教えて戴いた。(中略)
「紫」も今秋十月には、創立八十五周年を迎えることになる。高齢化現象は俳壇全体にも言えることで、「紫」もその波をもろに被っている。来年の十月には創刊1000号が迫っているのに忸怩たる思いである。主宰の私が励みとなっているのは、優秀な作家が育ち、多くの成果を上げている事である。その会員の力を結集して「紫」1000号を目指していく所存である。(中略)
また、齋藤愼爾の深夜叢書社で堀井春一郎が編集していた「季刊俳句」第四号に「新しい作家」として攝津幸彦と私とが掲載された。攝津幸彦は「あなめりか」、私は「昭和改元論」と気負ったタイトルであった。私も攝津幸彦もまだ、二十代後半で社会性や諧謔性を盛んに打ち出していた時代である。(中略)
俳句に関わった六十三年間を振り返ると、不思議な縁、さまざまな人との出合いにより、現在の私があることに感謝したい。それが「我逢人」である。
とあった。ともあれ、本誌よりいくつかの句を挙げておこう。
草原に反歌の座あり吾亦紅 安西 篤
文脈にない涼しさよ水の面 松澤雅世
潮に呼ばれし人と夏に入る 曾根 毅
猫撫でて時々掴む猫の骨 星野昌彦
テラスまで届くWi-Fi夜の秋 花谷 清
矛盾するにも背泳ぎの届かざる 髙田祥聖
みどりの夜とくとくとくと脈渇く 内野義悠
激(たけ)しき鏡(うつしみ) 山根もなか
熱帯魚な眺め待合室無言 鈴木亜由美
滝壺に蛇を投げれば花群るる 加藤知子
★閑話休題・・第60回蛇笏賞・大木あまり『山猫伝』/迢空賞・桑原正紀『麦熟るる頃』、日高堯子『日在浜』贈呈式・・
6月28日(日)は、第60回蛇笏賞・迢空賞の贈呈式(於:ホテルメトロポリタン エドモント)だった。旧知の大木あまりもそうだが、歌人の桑原正紀にお祝いの一言をと思って出かけた。懇親会には失礼したが、偶然に「豈」の古き同人妹尾健に受付で会った。高山れおなも珍しく顔をみせていた。実に久しぶりに、正木ゆう子、永田和宏各氏にもお会いした。
いのちありて見るしろき雲あをき空いのちといふはほんにさびしき 桑原正紀
半世紀共に棲む夫いつよりかチェシャ猫のような存在となる 日高堯子
鎌倉の水羊羹と無常観 大木あまり
撮影・鈴木純一「前世の蜥蜴をおどすヨイト巻ケ」↑
6月20日 美輪明宏 没(1935~2026)



コメント
コメントを投稿