樋口由紀子「父の日がジャングルジムを通り抜け」(「川柳スパイラル」第26号より)・・


 「川柳スパイラル」第26号(編集発行人 小池正博)、特集は「現代川柳の時代 2000~2020」。執筆陣は小池正博「現代川柳の時代」、畑美樹「背泳ぎはつづくー『バックストローク』についてー」、清水かおり「木馬の蹄」、くんじろう「川柳結社ふらすこてん」、山崎夫美子「こころに川柳工房を持った作家たちー現代川柳『新思潮』ー」。その小池正博は、「【ゼロ年代】」の項で、


 現代川柳においてゼロ年代のスタートを告げたのは、2000年7月に出版された『現代川柳の精鋭たち28人集』(北宋社)である。「21世紀へ」という副題がついているから新世紀への意識がうかがえる。当時としては珍しく書店の店頭で手に入る川柳本であり、本書の与えた影響は大きい。

 この流れを受けて、2001年4月15日、ホテル・アウィ―ナ大阪で「川柳ジャンクション2001」が開催された。(中略)

 【20年代】/『現代戦精鋭たち』から『はじめまして現代川柳』まで二十年かかっている。暮田真名の『ゆきどけ産声翻訳機』までは約五年。現代川柳の発信が加速してきている。


 とあった。ともあれ、本誌本号より、いくつかの句を以下に挙げておこう。


  ジェネリック大和魂ぶらさげて       まつりぺきん

  瓦斯室ときもちトートロジーを書く       川合大祐

  出生の秘密かさかさ茶封筒          猫田千恵子

  波という波唐突に人は問う           畑 美樹    

  プリマヴェーラ、ラ・プリマヴェーラ、裸足で草むらを

                         湊 圭伍

  透きとおる比喩の入浴 溢れる         林 やは

  約束にびっしりと藻がついている        石川 聡

  いとをかしデフォルメしてもしなくても     浪越靖政

  三遊間に虹を植えてる             小沢 史

  地面だけは味方だと思っていた         小池正博

  御死売りが肩を落として座る門         兵頭全郎

  そうそれを担いだ人の春の檻         清水かおり

  オフレコオフレコすみっこぐらしらし     宮井いずみ

  いいですよ後ろは縫ってあげましょう      西脇祥貴



★閑話休題・・樋口由紀子「冬の星見てから先に帰るわね」(「トイ」Vol.17)・・


 「トイ」Vol.17(編集発行人:干場達矢)、その「あとがき」に、


 2月11日、本誌同人の樋口由紀子が死した。享年73。今号は追悼号として編集した。樋口の12句およびエッセイは昨年12月に入稿されたもので、最後の作品となる。(中略)

 本誌は今号で17号を数えるが、現代川柳を代表する作家の晩年の204句を掲載できたことを意義深く思う。樋口の思い出を大切に、「トイ」は今後、4人誌として刊行を続ける。


 とあった。ともあれ、以下に一人一句を挙げておきたい。


  入口と出口はついに繋がらず          樋口由紀子

  枯いばら棘といふ棘こはれずに          青木空知

  例えば物食めば音して秋は冬           池田澄子

  鳥雲に入るもう声が聞えない           仁平 勝

     樋口由紀子逝く

  まねつてさびしいことばさくらさくら       干場達矢  



       撮影・中西ひろ美「山へ山へ鳥鳴き移る薄暑かな」↑

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