谷口智行「春光や大河をくだる柩舟」(「運河」5月・終刊号)・・
「運河]5月・終刊号/第79巻第5号(運河俳句会)、追悼特集に「感謝 茨木和生先生」。茨木和生を語るに渾身の、保存版となる貴重な一冊である。谷口智行「『運河』終刊のこと」には、
「運河」は創刊七十年にわたり、多くの方々に愛され、良き俳縁に恵まれてまいりましたが、本号をもちまして終刊とし、運河俳句会の活動を終えます。全ての会員には、四月上旬、封書にて報告をさせていただいております。(中略)
しかしかねてより懸念しておりました私自身の健康上の問題が深刻化し、主宰兼編集長という一人二役のままで「運河」誌を継続することは困難と判断しました。(中略)
この五月を以て「運河俳句会」は活動を閉じます(五月予定の「句集祭」は計画通り実施します)。
「運河」の最高責任者として、地域医療を担う医師として、疾病をかかえる家庭人として、熟慮に熟慮を重ね、私自身が下した苦渋の決断です。
とあった。ともあれ、以下に本誌本号より、いくつかの句を挙げておこう。
炎天の三重より奈良へ歩き出す 山口誓子
遠く聲掛け合ひ鳴子はづしをり 右城暮石
干魚の眼が抜けゐたり熊野灼く 茨木和生
正月三日どろりと島田牙城くる 谷口智行
獅子舞の足の男と酌み交はす 山口素基
含み声なれど確かに鳥の恋 藤勢津子
山里にずらり裃御朝拝 森井美知代
炎の字力にどんどの火よあがれ 水野露草
見映えよき験の杉を神の前 田邉富子
畦道も小笹はびこり指艾(さしもぐさ) 松村幸代
吉兆の鯛は金貨を咥へたる 広田祝世
雪空に御歳の湯玉はじけたる 髙松早基子
蠟梅やなぞへの先に海光り 堀 瞳子
氷室社へ抜け道のあり日脚伸ぶ 大石久美
鳴る海に鯨の骨を掘り出せる 福田とも子
南草も和生も亡くて七日粥 永田英子
ものの芽や紐でつながる観音像 中村敏之
春菊の小鉢ごめんの置手紙 早川 徹
おかげ晴なり先生の山桜 黄土眠兎
気前よく豆撒いてゐる後を掃く 大久保樹

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