夏木久「砲弾の一瞬俯瞰する平和」(『風詩夏伝・巻三』)・・


  夏木久第7句集『風詩夏伝・巻三/人生(たび)の空から*BUSONの旅を試行錯誤』(私家版)、「序に代えて1」には、


 おゝ飛行がもはや/それらの目的をももって/天空の静寂の中へ/自らに満ちたりつつ昇りゆき//成功した機械として/鮮やかなプロフィールを描きつつ/しなやかに、悠々と翼を振りつつ/風の愛人を演じることをやめるようになる時はじめて――//(後略)

  (リルケ・R・M・リルケ詩「オルフィスに寄せるソネット」第一部23,高安国世訳)

 

 また、「あとがき」には、


(前略)4月の例会で「連衆」の谷口師に紹介を乞うた、師が折に触れ阿部青鞋氏や河合隼雄氏の論を引用しながら説く「定型の空」、それをよく知るために何を読めばいいか?を。早速に三冊の紹介を受けた。その中にフッサールの現象学の解説書があった。…。ふと本棚を確認した。あった、二〇代の頃かった「現象学」(木田元著・岩波新書)が。その頃は沈没していたが、現在の言葉との拘泥に、そんな昔の思惟の断片がうまくそれらを掬い上げ、また新しいヒントを感じさせている…。(中略)

 そんな思いを巻三に…。過去まで引っ張り出して…、してみた。

 ここで幕引き?「これはひとつのプランだよ…?」と巻三を閉じる。

 生ある限り?これはネバーエンディング…だよ、だって器は空だもの!


 とあった。ともあれ、以下に本集より、愚生好みに偏するがいくつかの句を挙げておこう。


  秋口にため口利かれ其の日暮らし        久 

  惑星のとある洋燈(らんぷ)の傘埃

  芒原もはやすすきになるしかない

  黙祷!と聞けど箒は持ったまま

  永眠の永を浮かべて転寝る

  風光る時間の器もったまま

  のみ乾せば器ふたたびあきの空

  亡き人の指輪が指を探す夜の

  あやめあめおのれをあやめあめのやむ

  ゆく春の絲の綻びすでに乱


  (前略)〈こころならずも人と生まれ数十年を生きて、私は何をしたと言うのだろう。時代の闇、魂の闇の中に、かすかでも灯火を掲げたいと願って十七文字に心血を注いできた。その姿は人目には鬼と映るもこともあったに違いない。いや鬼と化さねば出来ぬと自らに言い聞かせてきた…(秦夕美著「赤黄男幻想」より)(中略)

  跡も痕も残さず蒼く今日の空


  Qの字は笑顔泣き顔ムンク顔

  心臓死脳死に遅速あり迷う

  

 夏木久(なつき・きゅう)1951年、大阪市生まれ。



★閑話休題・・第48回埼玉俳句大会作品募集/事前投句締め切り迫る! 4月30日(木)・・


 「埼玉県芸術祭文化祭2026協賛事業・第48回埼玉俳句大会作品募集/事前投句締め切り迫る! 4月30日」(主催 埼玉県現代俳句協会)


◎大会概要

 日 時 令和8年7月12日(日)受付開始10時・開会13時30分~

  会 場 さいたま文学館・文学ホール(JR桶川駅西口徒歩5分)

  講 演 大井恒行氏(「豈」編集顧問)

  主 催 埼玉県現代俳句協会

  後 援 埼玉県文化団体連合会・桶川市教育委員会・埼玉県俳句連盟

  協 賛 埼玉県芸術文化祭実行員会

  表 彰 ⓵事前投句 埼玉県知事賞、桶川市長賞他30位まで表彰

      ②当日投句 桶川市長他20位まで表彰

  ◎事前投句募集要項

  作 品 二句一組・何組でも可(未発表作品、前書、ルビは認めません)

  投句料 二句一組につき1000円(投句料の無いものは無効)。

  〆 切 令和8年4月30日(木)必着

  投句先 330-0061 さいたま市浦和区常磐1-5-22-504 青木鶴城方

               埼玉俳句大会係    (090-6709-1367)

 予定選者は 網野月を、石寒太、山崎十生、山本鬼之介、大井恒行など25名。

  ◎ 当日投句要領

   作 品  当季雑詠2句(受付にて投句用紙配布)

   投句料  1000円

   投句締め切り 12時(投句後13時半まで自由時間)


         撮影・中西ひろ美「満天星に迷える虫の冥利かな」↑

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