森賀まり「春の馬赤くも見えてかたまりぬ」(「静かな場所」No.33)・・
「静かな場所」No.33(発行人 対中いずみ)、特集は、「対中いずみ第4句集『蘆花』鑑賞」、執筆は、福田若之「まぼろしのちまたに――『蘆花』に寄せて」、森賀まり「ゆらめくもの」、満田春日「詩のひらくとき」、藤本夕衣「その眼」、他に、垂水文弥「シリーズ 私にとっての田中裕明(6)/ともに歩む」など。福田若之の玉文の結び近くから、
その人があたしのやうで墓を洗ふ
《ひとつきはしぐれの虹のやうにゐる》はもちろん、《魚目逝く月の兎をかたむけて》のほか《長老に青葉濃くなりまさりけり》など、『蘆花』にはひとを悼む句もすくなくない。掲句の「その人」は、一笑の墓碑を前に《塚も動け我泣聲(わがなくこゑ)は秋の風》と嘆じた芭蕉そのひとではないだろうけれども、先に流れる情の濃さには近しいものがあるように思う。先に触れたとおり、この句集のあとがきは蘆花の赤みに詩情というもののありようを見ているが、書中には次の句もあった。
喪ごころのたとへば冬の蘆の花
もしかすると、句集の芯に通う情こそが、僕をして、句のかなたに古人を思うこの一文を書かしめたのかもしれない。
とあった。ともあれ、本誌本号より、いくつかの句を挙げておこう。
つつがなし樒の花のさきがにも 森賀まり
温室の花みな忘れものめいて 対中いずみ
薄氷や瞬くときの風しみて 藤本夕衣
芥子蒔くも小鳥埋めるもこのシャベル 満田春日
★閑話休題・・尾崎放哉「思ひがけもないとこに出た道の秋草」(第11回「自由律俳人 尾崎放哉との対峙/尾崎放哉の句から描く/12名による絵画・彫刻展」)・・
山口実・小杉義武・山本秀樹・齋藤典久・小山厚史・伊勢裕人・佐藤真菜・森倫章・前田香織・鈴木修一・松澤五男・宮塚春美。
放哉の句の中から、毎年、共通の一句をモチーフに各作家が作品を提出するほかは、各人が自分の好みの句を題材にされているという。今年の共通の句は「思ひがけもないとこに出た道の秋草」であった。
撮影・中西ひろ美「ほんとうに待たれて芽吹く銀杏かな」↑




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