上野貴子「悲しみは晴れた空よりも青い」(『晴れ空』)・・


 上野貴子句集『晴れ空』(角川書店)、帯文には、


 いいじゃないかこれだって俳句だよ!リズムが日本語なら俳句だよ!

 リズムが日本語なr俳句だよ!

 思ったままに書いてみたいんだ!

 自由に自分の想いを詠む俳句のスタイルを追求する/「おしゃべりHAIKUの会」主宰/待望の句集。


 とあり、「あとがき」には、


(前略)俳句は十七文字の短い世界の中に伝統的な約束事があり、何が良いか悪いか分かりにくいものです。

 それならルールを取り払って自由に書いてみようと考えて「なんちゃって俳句」が生まれました。

 ふざけた話だと思われるかもしれませんが、自分の想いを俳句に表すことで何かの殻を破った気持ちになります。

 日々のストレスやプッシャーに負けず、自分らしい言葉で俳句を詠みたいという一心で書きためました。読まれた方がどう思われるか不安もありますが、俳句は上手い下手ではなく心に感じたことをそのまま表現することが大切だと思っています。


 とあった。集名に因む「晴空」の句がいくつかある。例えば、


  爽やかな晴空に涙がこぼれ      貴子

  晴空を見上げて心はからっぽ

  悲しみは晴れた空よりも青い

  

 等々。ともあれ、本集より、愚生好みに偏するが、いくつかの句をい挙げておこう。


  そら耳につい返事して人混み

  扇風機の音に暗闇が動く

  一年を一日一生の朝顔

  流れ星どこかで思い出がしゃべる

  にらめっこ熟柿として根競べ

  サンタから遅れるねってメール来る

  花三分五分八分いつも満開

  いつだって心は晴れて五月晴

  夕立に悲しくたって笑っちゃえ

  終戦記念日繰り返さない記念日

  団栗のベレーに落ちる夕陽色

  鶴来る千年分の折り紙に

  朝空は晴れて数え日今日惜しむ


 上野貴子(うえの・たかこ) 1960年、千葉県生まれ。


★閑話休題・・朗読グループ八重の会「第39回春の朗読会」(於:府中市中央文化センター ひばりホール)・・


 先日、2月28日(日)午後14時~16時は、朗読グループ八重の会の「第39回・春の朗読会」(構成・演出 楯岡眞弓)だった。きすげ句会の仲間である井上芳子がお世話されている朗読のグループ。朗読の演目は朱川湊人作「蒼い岸辺にて」、海ふみこ作「わたし あかずきんよ」、森鴎外作「高瀬舟」。この日は気温20度と春の暖かさになったが、風が強く体感はほどほどだった。

     撮影・中西ひろ美「見た目ほど穏やかでなし春来たる」↑

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