池田澄子「月仰ぐわが師を好きな朋たちと」(「くらら」第二号)・・-
「くらら」第二号(編集発行人:梶浦道成)、巻頭に「澄子さんの宝物・第一回/三橋敏雄からの最初の葉書」、写真と文の梶浦道成は、
「これ、わたしの宝物」澄子さんが目をキラキラさせて見せて下さったのは古い一枚の葉書だった。
日付は一九八三年十月十二日。俳誌「俳句研究」で三橋敏雄特集と出会い、彼こそわたしの師だと確信し、思い切って三橋宛に出した手紙の返信がこの葉書だ。
と記している。この三橋敏雄の返信には、
(前略)俳句は誰かに教えてもらうものではありません すべては自己啓発にかかっています。それには先ず先行のすぐれた俳句作品をよくよみ肝に銘じることです そして先行の作品を一歩でも抜く表現をめざすこと、しかし先行作品の亜流や真似にすぎないものはいくらよく出来ていても存在価値はないと思うべきです。
とあった。ともあれ、本誌よりいくつかの句を以下に挙げておこう。
後で捨てる紅葉をどうしても拾う 安達原葉子
本音など自分も知らぬ冬うらら 荒木とうこ
白鳥帰る先頭の目の迷いなく 遠藤千鶴子
開戦日いいえイマジン唱する日 梶原道成
薫風や降車ボタンに手を伸ばす 加東ネムイチ
出目金の目が取れぬよう見守る子 神谷べティ
地球に海三月十一日の海 紺乃ひつじ
新盆やどいてよそこは夫の椅子 佐藤昭子
狼の声がこころにうづくまる 丹下京子
迎賓館のユリノキユリノキ蝉蟬蟬 中村我人
自分もてなす春キャベツたまごサンド 畑上麻保
梅雨明のはなびらにある一雫 馬場ともこ
はれやかに母の舟ゆく天の川 山本恵子
撮影・鈴木純一「鶴なんだから戦さを停めなさい」↑

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