齋木和俊「キジムナーに語り部託す沖縄忌」(第186回「吾亦紅句会」)・・
本日、6月27日(金)は、第186回「吾亦紅句会」(於:立川市高松学習館)だった。兼題は「雨蛙」。去る6月9日に逝去された牟田英子さんのために、黙祷を捧げた後、句会が始まった。そして、亡くなる直前に自身で選句された句集『虹を渡る』(私家版)が句会の仲間に配られた。牟田英子への追悼の句も多くみられた。以下に一人一句を挙げておきたい。
牛蛙笑み涼やかな山ガール 田村明通
つながれた命が歌う沖縄忌 奥村和子
雨蛙上眼使いに世を図る 齋木和俊
君逝くや百名山の星月夜 須崎武尚
桜桃忌電気ブランの夜は更けて 村上さら
紫陽花や歪む昭和の硝子窓 折原ミチ子
濃紫陽花女性専用車混雑 渡邉弘子
陽を風を浴びて葡萄の葉の繁る 笠井節子
梅雨晴れや此処を先途と鳥の声 松谷栄喜
朝靄に菩薩を見んと蓮池に 吉村自然坊
明日はさどの色になる雨蛙 関根幸子
コココ米ココココ米は庭の鶏(とり) 三枝美枝子
そよと風ことば失う白牡丹 西村文子
登下校秘密の場所に雨蛙 佐藤幸子
小雨降る枝葉で遊ぶ雨蛙 佐々木賢二
雨蛙明日は晴れぞどこへ行く 武田道代
餓鬼の子のペンキ逃れよ雨蛙 大井恒行
次回は、7月25日(金)、場所は立川女性総合センターアイム。兼題は海開き、牟田英子追悼句一句。
★閑話休題・・牟田英子「やんばるも摩文仁の丘もさみだるる」(『虹を渡る』より)・・
牟田英子遺句集『虹を渡る』(牟田親子舎)、挟み込まれた「ご報告」には、
皆さま この度残念ながら一足先に旅立ちました
山友達と300名山に、海外の山に/自然豊かな日本の山に
バトミントンの仲間との愉快なお付き合い/俳句仲間との句作、
近くのお友達など/沢山の友達に恵まれ幸せな人生でした
優しい二人の娘、姉妹に感謝
皆さま ありがとうございました
牟田英子/令和7年6月9日没
とあった。ともあれ、本集よりいくつかの句を挙げておこう。
初春や焔纏いて富士起立 英子
故郷は見知らぬ街に春の雨
人込みに呼ばれたような目借時
春大河光の粒は風に消え
数式の答えは一つ雲の峰
廃校の百葉箱や虫集く
雁がねや芭蕉も越えし月の山
鳥渡るラフマニノフの第二番
秋の虹女王陛下渡り終う
結願の寺をいだきて山眠る
ボタラ宮五体投地に冬日射す
月天心眠らぬ渋谷交叉点
春夕焼けそろそろあの世にグッドバイ
牟田英子(むた・えいこ)享年83。
撮影・鈴木純一「てふてふが一匹青信号で渡つて行つた」↑



コメント
コメントを投稿