夏石番矢「法王空飛ぶすべての枯れた薔薇のため」(「吟遊」第102号より)・・
「吟遊」第102号(吟遊社)、鎌倉佐弓の編集後記には、
(前略)郵便事情、特に海外への郵便物の出し方が厳しくなってしまったのは驚くほかない。まず、宛先等の手書きは禁止。その上、相手国に送るのにHSコードなど一通ごとに用意する必要が出てきた。これは郵便送付の間違いを減らすためだけではないように思う。
ともあれ、私たちの「吟遊」が国内だけでなく海外の詩人や俳人ともつながっていることを改めて認識し、努力していこうと思っている。
とあった。また、乾佐伎エッセイ「空飛ぶ法王への手紙」には、
(前略) 海底の蛸が友だち空飛ぶ法王 夏石番矢
どうして蛸なんだろう。しかも海底の。空を飛べる法王と海底にいる蛸との距離感が絶妙な一句である。なぜ?が頭の中を駆け巡る。考えながら、ふと
庇護される妻にて蛸をわし掴み 鎌倉佐弓
が、頭をよぎった。この句がきっと理由のひとつを物語っている。そんな気がする。空飛ぶ法王にとって蛸は特別な存在だ。
とあった。ともあれ、本誌より、いくつかの句を挙げておこう(各言語の作品には対訳が付されているが日本語のみの引用)。
ファクトチェッカー翼の夢の俳句を作る 夏石番矢
塔も蝶も崩落の始まりはひそか 鎌倉佐弓
南瓜のなかに
植えられた
しずかな砲弾 シモン=ガブリエル・ボノ
戦時下の川
永遠に悲しい母
多くの子に希望なし パルタ・サルカール
向こうからスキップをして春いちご 竹 梵
指凍り焚書さるべきもの書きたし 岩脇リーベル豊美
俳句とウード 奏でる モロッコの夜を響き 中永公子
去年今年跨いで続くジェノサイド 鈴木伸一
鳥帰人酔不能飛 鳥帰る人は酔ひをり飛べぬので 石倉秀樹
徒手空拳笑うしかない喜寿の春 長谷川破笑
街の灯か火の手か詩人ネロ照らす 木村聡雄
カンバスの中へひこうき雲消える 乾 佐伎
眠る蝶が石に沈む 眼は乾き 斎藤秀雄
手術(オペ)はロボットがするのよ女医のプライド 金城けい
よこたわる竜はまぶたを閉じみぞれ 子 伯
★閑話休題・・村井康司 連続レクチャー「時空を超えるジャズ史」第一回・「ジャズの始まりをもう一度考える/世紀の変わり目に何があったのか?」(於:いーぐる)・・
本日、4月27日(土)は、午後3時半から四ッ谷・ジャズ喫茶「いーぐる」に於て、村井康司の連続レクチャー「時空を超えるジャズ史」の第一回「ジャズの始まりをもう一度考える/世紀の変わり目に何があったのか?」に出かけた。満席だった。トークの間に、実際に音楽をふんだんに聞き、ユーチューブもあって、愚生にとっては、目からウロコもたくさんあり、楽しく有意義だった。第二回目は、6月8日(土)に開催される。
撮影・中西ひろ美「惜春の審判はたぶん正しい」↑
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