岡田耕治「開戦日耳に空気を通しけり」(「香天」2023年2月・通巻70号)・・
「香天」2023年2月・通巻70号(香天の会)、メインは、第1回「鈴木六林男賞受賞作品」の掲載であろう。本誌に『第一回 鈴木六林男賞 作品集』が同送されていた。選考委員は岡田耕治・岡田由季・久保純夫・曽根毅・津髙里永子・堀田季何の6名。昔あった鈴木六林男、高柳重信らの「六人の会賞」を思い出したりした。岡田耕治がまとめた「選考経過と選評」に、
(前略)二〇二二年九月二八日までに到着した作品は、七七編と、多くの応募をいただいた。(中略)選考にあたり、各委員の持ち点を十点とし、最高五点以内で応募作品に点数を付けていただいた。
各選考委員の採点を合計したところ、最高点七点に木村オサムさん、玉記玉さんが並んだので、第一回鈴木六林男賞をこの二人の受賞とすることを選考委員に提案したところ、全員の了承を得た。また六点の中西亮太さん、五点の石井稔さん、横山香代子さん、夏礼子さんの四名を六林男賞秀逸とすることについても、了承を得た。(中略)
鈴木六林男の俳句の書き方にふさわしい「拡大進行形」の表現に出会えたことは、私自身の俳句づくりの刺激ともなった。今後も、この賞にふさわしい意欲的な作品に出会えることをたのしみにしている。
とあった。ともあれ、本誌同号と六林男賞の中から、いくつかの句を以下に挙げておきたい。
円錐に目の現るる原爆忌 木村オサム(鈴木六林男賞受賞)
スタンディングオベーション既に凍滝 玉記 玉( 〃 )
じゆげむじゆげむ緑蔭に哺乳類 石井 稔(六林男賞・秀逸)
左右より名前呼ばれて暮早し 中西亮太( 〃 )
煮崩れるまで大根にて流星群 横山香代子( 〃 )
向日葵の確かに枯れを急ぎけり 夏 礼子( 〃 )
三界はいずこに置きし椿餅 久保純夫
泣いてから眠ってしまう毛布かな 岡田耕治
冬うらら手術の荷には句帳入れ 夏 礼子
落下墜落堕落落魄初寝覚 安田中彦
初夢の大きな目玉に追はれけり 渡邊美保
馴鹿(トナカイ)や圧力鍋のバルブ鳴る 綿原芳美
日溜りをを抜け出してくるスワンかな 石井 冴
ショールから昔は美女が現はるる 砂山恵子
向うから草書のような冬帽子 谷川すみれ
★閑話休題・・加納光於《雲形の遍歴者》「伊勢物語」第六段拾遺 1999 油彩、カンヴァス・・
昨日、思い切って、加納光於個展「《雲形の遍歴者》『伊勢物語』第六段拾遺」(於:ギャルリー東京ユマニテ、3月18日〈土〉まで)に出かけた。夜窓社のフェイスブックで見て、愚生も、是非、行きたくなったのだ。思えば、愚生が書店員だった頃、確か、大岡信の詩集を納めたオブジェに出会い、書肆山田からも彼の書籍が刊行されていたはずである。加納光於の年譜を見たら、九十歳になられるのだ。
加納光於(かのう・みつお) 1933年、東京都生まれ。
撮影・中西ひろ美「茎立や日延べ日延べの旅支度」↑
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