飯島晴子「みそさざい袈裟もころももいらぬといふ」(『鳥の声』より)・・
高橋多見歩『鳥の声』(ふらんす堂)、高橋多見歩「はじめに」には、
(前略)このような四十雀などの興味深い生態を知ると、ふと
鷹一つ見付けてうれしいらご崎 芭蕉
小鳥来る音うれしさよ板びさし 蕪村
の鳥の句を思い出した。芭蕉も蕪村も「うれしい」とストレートに感情を出すほど鳥好きなのである。先人の句において鳥の鳴き声がどの様に詠われ、又野鳥の生態に踏み込んだ句が有るか興味が湧き、調べてみる事にした。その結果を俳句季刊誌「天晴」に順次連載していった。(中略)
この度「天晴」の連載内容に少し手を加え、本書を纏めた。本書の内容は、興味深い鳥の俳句を紹介し、その句評・コメントを気軽なエッセイ風に仕立てたもので、気になった処をどこからでもお読み頂きたい。
とあり、天晴代表・津久井紀代/編集人・杉美春/「天晴」一同の「あとがきにかえて」には、
(前略)多見歩さんは几帳面で温厚な人。「天晴」の柱としてわれわれを導いてくださった。多見歩さんの遺されたものを一冊に纏めることが出来たことに感慨深いものがある。
出版にあたりどこからか多見歩さんの「ありがとう」、という声が聞こえてきそうな気がしてならない。そんな気配りと繊細な感性をおもちの方であった。
多見歩さん、『鳥の声』を纏めましたよ。
とあった。ともあれ、本書中より、鳥の句のいくつかを以下に挙げておこう。
青天に飼はれて淋しき木菟の耳 原 石鼎
白鳥といふ一巨花を水に置く 中村草田男
梟のまひる瞬く孤独の目 加藤楸邨
はこべらや焦土の色の雀ども 石田波郷
除夜の鐘白鳥のごと湯浴みをり 森 澄雄
これ着ると梟が啼くめくら縞 飯島晴子
ごろすけほう観音さまが生まれるぞ 有馬朗人
高橋多見歩(はかはし・たみほ) 1947年~2025年没、東京生まれ
★閑話休題・・杦森松一「空席の呼名ひびき卒業式」(第50回「きすげ句会」)・・
2月19日(木)は、第50回「きすげ句会」(於:府中市生涯学習センター)だった。兼題は「卒業」。以下に一人一句を挙げておこう。
一行詩リズム調ふ冬木立 久保田和代
冴ゆる月無人の駅をかすめ落つ 寺地千穂
梅の香や少しひやりと聴診器 高野芳一
雪中花背すじ伸ばして母凛と 濱 筆治
春の風追ふ児のお尻ふりふりと 新宅秀則
しなやかに猫になりたし冬日向 久保田和代
尾長の群花の芽つつく春の雪 井上芳子
空の青河津桜の額縁に 清水正之
春めきて投票箱のジュラルミン 杦森松一
牢獄(ひとや)の窓に咲くやめでたき梅の花 大井恒行
次回は、3月19日(木)、会場はいつもと違う、ルミエール府中での開催です。兼題は「松」。
撮影・鈴木純一「チエミの忌ウソがつけずに恋の歌」↑
江利チエミ 1982年2月13日没


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