有住洋子「すこしずつ形のちがふ椅子二月」(『夜は九夜 日は十日』)・・
有住洋子句集『夜は九夜 日は十日』(ふらんす堂)、「あとがき」に、
この一冊の前半は新句集として、後半は以前の句集からいくつを選んで載せ、ところどころに、やはり以前書いた文の断片を挟んだ。(中略)
この数年、クロノス(時の長さ)とカイロス(その時)について考えていた。時の流れの中のいつか、どこか、だれかと、山を見ることで、本を読むことで、音楽を聴くことで、野を歩くことで触れるかもしれないのだった。風の日もあった。雲間から日の射すときもあった。この世を旅していると思うときもあった。
とあり、またある章立ての扉の一文には、
橋を渡り、また橋を渡った。渡るとき,前方の建物と建物のあいだに、うす暗い路地が見えた。右を向くと、すこし先に橋が架かっていた。左を向くと、やはり同じように橋があった。
『陸の東、月の西』より
とあった。ともあれ、愚生好みに偏するが、本集よりいくつかの句を挙げておこう。
風を呑み追儺の門の閉ぢらるる 洋子
春雪の裾野へ来ないかち少女
山椿きしみつつ夜の過ぎゆけり
神輿来てひかりをはじく魚一尾
親族のひとりが怖し蓮の飯
影満つるまで揺曳の冬館
池かとぞ思ふ墓域の木下闇
みちのくのめはじき雲をひもすがら
しはがれしこゑ鶏頭にこゑあらば
花ひらく前のしづけさ水に皺
屋上に人影うごく鳥曇
神々の国に風吹く余り苗
ギヤマンを取り出す影を残し置き
果樹園に靄生れ梨を採りつくす
山椒魚いなづまの夜となりにけり
一面の屋台の裏が枯れてをり
魂祭まへもうしろもけむたかり
いなびかり水中を母歩きをり
有住洋子(ありずみ・ようこ) 1948年、東京生まれ。
★閑話休題・・スエモリヒデキ(exナマステ楽団)with 吉田悠樹(二胡・マンドリン) (於:阿佐ヶ谷よるのひるね) ライブ・・
2月7日(土)14時45分~阿佐ヶ谷よるのひるね で行われたライブ「スエモリヒデキwith 吉田悠樹」に、久しぶりに出掛けた。よるのひるねの店主、門田克彦は、愚生が、弘英堂書店吉祥寺店に勤めている時に、版元の書肆山田やふらんす堂の営業代行で訪ねて来られていらいの知己だ(30年前?)。現在では、「よるのひるね」の店主であり「よるひるプロ」の社主でもある(社主は好きな本の復刻出版をしている)。というわけで、つい、長尾みのる著『革命屋/イラストーリー★女と革命と欲望』(よるひるプロ)を買い、帰途の電車に乗ったとたんに読み始めて、気がついたら、逆方向にに乗ってしまっていた。引き返し、元にもどるまで一時間も費やした(おかげで読了)。
撮影・中西ひろ美「雪が降りこれから歩く道つくる」↑



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