中島進「陽のうすき枯野ゆく喪失をゆく」(『中島進遺稿句抄』)・・


 各務麗至編『中島進遺稿句抄』(詭激時代社・限定非売品)、その「あとがき」に相当する各務麗至「悼 中島進 嗚呼……」には、


   あざやかな道の黄葉へうもれたい      進

   さみしくないか真直ぐに立つ穂麦

           第171回 豈 句会 2025.1.25

 私が目にする「豈」への句会投稿作が最後の句になって、「豈」に「俳句新空間」へとその投稿発表順で編集することになった巻末の『今』にも通じそうで、

その頃、―-病棟を探検したり外を眺めたり、俳句のネタ探し楽しんでいます。そんな電話だった。どうしてもジッとしていられなかった。

扨―-中島さんとの始まりは、私が「豈」に入会してからのことで、知りあってまだ二年ほどでしかなかった。しかし、ご縁のありがたさはその比でない。

一人冊子だったからか、私のズレさ加減からこれまで殆ど無いことで、俳句や文芸一般について、重くあったり深くあったり深くあったりの面白い話が飛び交って……、身近(同郷県内)にそんな話相手ができて喜んでいたのに……。

昨年の夏の熱中症など何するものぞ、……だったのに。その後検査入院がつづき、黒ではないが灰色と医者に言われた、と、

それでも当人は、どこがぁ、と、本当に至って元気だったのに。早過ぎました。合掌。


 とあった。ともぁれ、以下に、本遺稿句抄から、いくつかの句を挙げておこう。


  熱帯夜うちなんちゅうの冷たい目

  陽炎や死者の奢りの波の跡 (大江健三郎氏追悼)

  炎天の一枚の鉄熱の鉄

  凍つる夜や点滴引きし廊下の児

  虹とふる黄とふる水の木の葉かな

  防空壕寒気果てなき都市の地下 (東京・ソウル)

  きざみこむ一切皆苦ねはんにし

  尾のない蜥蜴・逃げよ (香港民主党)

  売るものの己しかない新社員

  巻貝の時を知らざる遠干潟

  ふちはない

  枯野しかない目の前の枯野しか

  時のなき原野の風のあげは蝶

  かわきながら道の金魚がはねている (攝津幸彦氏追悼)

  かこむ霧きえぬ霧

  あざやかな内臓ばかり見せにくる

  たましいを凝視する真冬を乗りこえる

  かぎりなく今のまぶしき雪やなぎ


 中島進(なかしま・すすむ) 1954根~2026年1月16日 享年71。福岡県若松市(現・北九州市若松区)生まれ。句集に『探求1』、評論集『考察1』(文學の森)。


★最新刊「豈」68号の「特集・ユネスコ登戦略の最前線」に、遺稿の中島進「『アート』としての俳句はどこへ向かうのだろうか」が掲載されいる。また、以下のアドレスで、田島健一がユネスコ登録問題で意見を述べられている。是非、お聞きください。


 「豈」68号(ユネスコ特集)の感想がYOUTUBEに出ています。

秘密の俳句ちゃんねる(田島健一)2025/12/19
https://www.youtube.com/watch?v=A2kgNFImj2A


   

     撮影・芽夢野うのき「凍蝶か、岸辺をゆくはあれは父」↑

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