辻桃子「星の入東風夢の中にも目覚めても」(「や」第79号より)・・


 「や」第79号(や発行所)、鑑賞文に、月犬「78号を読む さまざまな個性が集う俳句誌」、その他同人各氏による「ひとり吟行」、戸松九里「中国禅寺巡り旅 一日作さざれば一日食らわず」、関根誠子「言の羽衣」などのエッセイがある。ともあれ、以下に一人一句を挙げておきたい。


  打ち水や戦火と墓標増殖す       石川ひろ子

  死に場所は今生きる場所花万朶      関根誠子

  少年の胸板薄し賢治の忌        田中由つ子

  竹笹に隠しごとめく願(ねげ)の絲    菊田一平

  ぐんぐんと水を翼に鮭上る        中沢 春

  なぜかしらカキクケコ柿黙りたい     森田笑母

  巻貝の先まで満ちて春の潮        田沼塔二

  顔寄せてヒソヒソくすくす木の実落つ   小野磨女

  風紋に今日を残して大夕焼         一 猫

  つまようじ折る癖今も震災忌       松本芽生

  八方へ光り飛び散る大氷河       久能木紀子

  みどり女かな女久女鷹女の扇風       麻里伊

  正しく歌えず君が代制定日        柏原空見

  去年今年夢の続きはまた続き       戸松九里

  千本針や千羽鶴や春待ちぬ        中村十朗

  猟銃の音の乾いて木の根明く      三瓶つなみ

  そのひとの声の涼しく彼岸かな      尾野秋奈

  用も無き渋谷に迷う秋の昼       下村とし子

  又来よと送り火夫の掌にて消し      石井 和

  終戦日涙を汗と言う祖母よ        三浦縫子



     撮影・中西ひろ美「よきことの小さき音を聞きて寒」↑

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