山口誓子「馬車寒し露字(ろじ)をつらねし坂の壁」(「新・黎明俳壇」第15号より)・・


 「新・黎明俳壇」第15号(黎明書房)、特集は「江戸の四季を俳句で楽しむ」。執筆陣は、横山香代子、杉山久子、植田かつじ、二村典子、かわばたけんじ、向瀬美音、岡村知昭、川嶋ぱんだ、川島由紀子、山科誠。本誌本号に「写真de俳句史探訪/キタイスカヤの山口誓子」がある。その中に、


(前略) 馬車寒し露字(ろじ)をつらねし坂の壁    誓子

 誓子の宿は、「東洋の巴里」と言われたハルビン第一の繁華街キタイスカヤ(今の中央街)にある高級ホテルです。(中略)

 誓子は、早速ホテル近くの松花江へ行きました。

  氷る河見ればいよいよしづかなり      誓子

 夜は「キャバレェ」だったようです。

  ストーヴや処女(おとめ)の腰に大き掌を  誓子

 こうして、ハルビンの夜は更けて行くのでした。(K・H)


とあった。 ともあれ、以下に、本号より、いくつかの句を挙げておこう。


  熒熒(けいけい)と蒲公英(ほこうえい)あり地雷原  堀田季何

  柘榴裂くサマルカンドの蒼タイル           前野砥水

  路地裏に鉄砲百合が咲いてゐる            岡本亜蘇

  ぼくじゃない狐も回る盆踊り             五島高資

  秋落暉ストンヘンジめくマンハッタン         太田風子

  ぬるくつめたく躰はなれるときつゆくさ        楠本奇蹄

  夏空やトタンペットのよく似合ふ   島田和典 (第52回黎明俳壇) 

  欲しきもの妻に問うたら新米と    海神瑠珂 (  〃    )

  改札で土産の蟹がゴソリ動く     髙田陽一 (第53回黎明俳壇)

  食前に早口ことば天高し       早 苗 (   〃    )

  やがて咲く草の花にも似た飛天    武馬久仁裕 (選者詠)   


 

 

★閑話休題・・松井左知子「木の上を鳥その上に秋の空」(「ひかり」第791号「西山俳壇」)・・  


「ひかり」第791号「西山俳壇」(西山浄土宗総本山光明寺護持会)、選者は、「豈」同人でもある城貴代美。他の句も、二三挙げておこう。


  稲塚や民の力の収まりて       北尾直美

  吾亦紅夫より長き三十年      徳成登美恵 

  航行灯月夜の海を辿りゆく      黒田十和

  竹馬や同窓会の便り果つ       山上鬼猿

  老いてなお明日へシャインマスカット 嶋岡柳花

  張りつめた空をひっぱる寒鴉     城貴代美 (選者詠)



       撮影・中西ひろ美「青空や大根一本買いにゆく」↑

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