中田美子「コリオリの力で右折鰯雲」(「ユプシロン」No,8)・・


 「ユプシロン」No.8(発売・小さ子社)、その「あとがき」に、


 (前略)普通に俳句を書いている人間が、AI技術について思うことといえば「すでに書かれたものは書かない」というばかりか、「これから書かれるであろうと予想されることも書かない」ということになって、またまたハードルが上がったな、ということぐらいだ。結構大変。

 自分の書きたいもの、好きな世界を、自分らしく書くのであれば、たとえどれほど凡庸であり、ありふれた作品であっても、それでいいんじゃないの、という人もいるだろう。確かにそれも悪くはない。ただ、それだとたぶん、「心のこもった手作りのお誕生日カード」と同じような気がする。

 私たち四人もいつの日か、手作りカード上等、と思う日が来るかもしれない。その時はそれでもいいと思うけれど、その場合は、この『ユプシロン』の印刷部数は、一人あたり十部あれば十分かな、と思う。


 とあった。ともぁれ、以下に一人一句を挙げておこう。


  羊歯類に那由多の記憶夏の水      中田美子

  真顔にて認証さるる漫才師       岡田由季

  釉薬の上を釉薬冬の星        小林かんな

  兄弟に挟まれ同じ氷菓持つ       仲田陽子  



★閑話休題・・由井幸男「あきのひをへやにひろげてまどろみぬ」(「立川市シルバー大学俳句講座」第4回)・・


 12月3日(水)は、「立川市シルバー大学俳句講座」第4回(於:立川市曙福祉会館)だった。宿題は、平仮名で俳句を2句作って来るだった。以下に一人一句を挙げておこう。


  みちのくのみさきいろどるななかまど    永澤直子

  ひとときのゆうひをまといふゆもみじ    村井悌子

  はがでてるいきているんだしくらめん   荒井美智子

  かぜにまいちりゆくもみじうらおもて    服部清子

  きにしないいいよいいよとちちのこえ   樺島美知子

  おいらくのほのかなおもいあたためる    由井幸男

  なつかしいたきびできないおちばはき   小菅多津子

  がいへきとそうのまくはりでふゆのひ    澁谷眞弓

  かんたろうゆげのむこうにみえかくれ    平田國子

  かなしみのきをめぐりきてすこしふゆ    大井恒行


 次回、1月7日(水)は、兼題「一月」、「井」。



    撮影・中西ひろ美「明日も晴れふたりも一人ひとりかな」↑  

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