谷村しげを「芒にくすぐられ猫が出た」(『一人百句(イチニンヒャック)yellow』)・・
谷村しげを句集『一人百句(イチニンヒャック)yellow』(私家版)、その巻末に、
(前略)俳句をはじめて十年になる。この世界では洟たれ小僧だが、この間に七冊の句集を出せたのは随分ありがたい。これも椌椌・OKAMO・後藤さんをはじめとする多くの友人たちの贔屓のおかげだ。本当に感謝感謝。
で、この手の「あとがき」はこの辺にして、この「イエロー」にも入選?した句に解説を付けて、お茶を濁します。(中略)
雲が歩いてる おだやかおだやか
昨年十一月に亡くなったYさんの最初で最後の句集『花を抱いて会いにいく』が届いた。「ほんとうはあちら と思う道しるべ」「伝銀板 カサとおきました かえります」「後ろ手を組んでやさしい傍観者」などなど。なんてオシャレな句だろうか。軽い嫉妬。ただただ感服です。そして合掌。
とあった。 他刊にいただいた一年に一冊『一人百句』のレッド版(2022年刊)、グリーン版(2023年刊)、ブルー版(2024年刊)、それぞれ、中村彰一「刊行に寄せて/百の情景をめぐって」、南椌椌「『一人百句グリーン』はわからない」、増田育三「谷村氏のこと」の跋文が寄せられている。
ともあれ、愚生は、最近刊行のイエロー版からのみ、愚生好みに偏するが、いくつかの句を以下に挙げておきたい。
天気が動かないそっと窓あける しげを
しいんしいん気圧の音する
鳥が飛んでゐる空の手柄だ
つくってもつくっても風になり
子供は只一つのジャンルだ
漢字が平かなに見える春になり
ゆうれいがひらかなでよかった風まかせ
墓石を数えてゆけば日暮れなり
紅葉手がそっと大人をつかんでる
屋上のあるヒトになりたい空見てる
天と地と時雨でつなぐ寒さかな
出口のない寒さが冬の自慢だ
谷村しげを(たにむら・しげを) 1950年、東京都渋谷区生まれ。
撮影・芽夢野うのき「手毬つきつつ門に入りゆく鬼の子よ」↑

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