大井恒行「祈るはここ無音のひかり蓮の花」(「ふらんす堂通信」186より)・・


  「ふらんす堂通信」186(ふらんす堂)、特集は同社刊行物の受賞特集。第80回現代俳句協会賞・第23回「鬣 TATEGAMI賞」受賞/大井恒行句集『水月伝』、第46回山之口貘賞受賞/築秋雄詩集『漂流詩人の唄』、第21回日本詩歌句随筆評論大賞【随筆部門】大賞受賞/波戸岡旭著『続・鳥は浜風』、第80回現代俳句協会・特別賞受賞/董振華句集『静涵(せいかん)』、第21回日本詩歌句随筆評論大賞【俳句部門】・東京四季出版社賞受賞/坂田晃一句集『耳輪鳴る』、第21回詩歌句随筆評論大賞【俳句部門】特別賞受賞/涼野海音句集『虹』、第21回詩歌句随筆評論大賞【評論部門】優秀賞受賞/辻村麻乃著『岡田史乃の百句』。その他、書きおろし特別寄稿に、岩田奎「中村堯子句集『布目から雫』を読む―ー悪人といふには」、望月遊馬「手塚敦史詩集『気化についてーー揮発性のある言葉ーー」。連載に奥坂まや「こわい俳句・第三十回」など。



 ともあれ、本誌より、以下にいくつかの句を挙げておこう。

  いつの間にか雨やんでいし栗ご飯       池田澄子
  エロスとは夜に入りたる皿の桃       大木あまり
  あきかぜやビラ撒き去れる複葉機       小澤 實
  叫び叫ぶいのち尽きるな蓮は花        大井恒行
  コスモスや風は神話の通り道         波戸岡旭
  花火師の胸にたくはふ火の詩学        董 振華
  名人の盤になりたし月の榧          坂田晃一
  師の手紙おほかた読めぬ涼しさよ       涼野海音
  三郎の蛇体眼や石灼くる           辻村麻乃
  四万六千日布目から雫            中村堯子
  人間の影こそ荊棘(おどろ)夜の秋      中村和弘
  百千鳥一つ烈火のごときあり         綾部仁喜


         鈴木純一「アメリカの留守に神さま一人だけ」↑


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