高野ムツオ「車にも仰臥という死春の月」(「俳句と昭和百年 現代俳句パネル展示」より)・・

 


 昨日、東京タワーフットタウン2Fエレベータ―横で開催されている(10月28日~11月2日)「俳句と昭和百年 現代俳句パネル展示」(現代俳句協会蒼年部)に出掛けた。どなたもいらっしゃらなかったが、現俳蒼年部作成による「昭和100年 俳句年表」と「現代俳句協会加入書」パンフ「俳句をみんなで楽しもう」、「おーいお茶俳句募集」チラシなど、「ご自由にお持ち下さい」と置かれていた。外国の方が手にとって見ていたので、おもわず、そうぞ!と日本語で言った(愚生は外国語は全くダメなので…)。

 展示パネルのうちに、池田澄子の「じゃんけんで負けて蛍にうまれたの」や攝津幸彦の「路地裏の夜汽車と思ふ金魚かな」を見て、満足して帰宅した。こよなく、雲一つない秋晴だった。


  展示されていた句のパネルや年表から、いくつかの句を以下に挙げておこう。11月2日(日)16時~17時には、東京タワーメインデッキ1F『Club333』に於て、第62回現代俳句全国大会前日祭が開催される。御用とお急ぎでない方はどうぞ!!


  起立礼着席青葉風過ぎた          神野紗希

  春や有為の奥山越えてダンスダンス     柿本多映

  猿曳や猿の背中をそつと押し        西村麒麟

  癌くらいなるわよと思ふ萩すすき     正木ゆう子

  戦争と戦争の間の朧かな          堀田季何

  あっ 彼は此の世に居ないんだった葉ざくら 池田澄子

  忘れないための消しゴム 原爆忌       秋尾 敏

  男来て出口を訊けり大枯野        恩田侑布子

  よき仕事する蚯蚓らに土尽きず       矢島渚男

  夕焼けの原発すでにして遺跡        仲 寒蟬

  人類に空爆のある雑煮かな         関 悦史

  わが死後は空蝉守になりたしよ      大木あまり

  空へゆく階段のなし稲の花                                     田中裕明

  ビル、がく、ずれて、ゆくな、ん、てきれ、いき、きれ

                    なかはられいこ   

  ぶらぶらを春の河まで棄てにゆく      攝津幸彦

  旅終へてよりB面の夏休          黛まどか

  船虫の上眼びつしり核の傘         中村和弘

  手をつけて海のつめたき桜かな       岸本尚毅

  ふはふはのふくろふの子のふかれをり    小澤 實

  三月の甘納豆のうふふふふふ        坪内稔典

  冬深し柱の中の濤の音           長谷川櫂

  未来より滝を吹き割る風来たる       夏石番矢



  撮影・芽夢野うのき「手放すものがまだあるのか真っ赤な花」↑

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