高橋かづき「ねむれぬ人にねむれぬ星が光るなり」(「垂人(たると)」48より)・・


 「垂人(たると)」48(編集・発行 中西ぎろ美/広瀬ちえみ)。中西ひろ美「今は使われていない・意味が変わっている古典の中のオノマトペーー雀連会9・芭蕉七部集講読順不同レポート」の中に、


勤行の頭(ズ)のむつむつと花の冷え      佛渕雀羅

うきうきとむざむざがゐる花の山         同

 古典の中の「むつむつ」は「睦睦」ではなく、「無口」「無愛想な男」のこと。「むつむつ」の使用例は冒頭の引用句の中にあり、雀羅さんの御作は「花の冷え」が「むつむつ」をむっつりの方へ寄せている。

 古語辞典で、「うきうき(浮き浮き)」は「心が落ち着かないようし」。「むざむざ」は「無念に思いながら何もなあすこともないさま」、浄瑠璃にいくつも使用例がみられる。古来「花]の本意はここにあるのだろう。 

(俳諧より前の時代の)連歌にはオノマトペは見られない。(手引書などの)散文にはある。という雀羅さんのお話に、改めて俳諧の革新性を思う。


とあった。ともあれ、本誌本号より、いくつかの句を挙げておこう。


  おはやうと仰げば揺るる山法師        ますだかも

  ほしいもの丸くて甘くてもの言わぬ      中西ひろ美

  亡き人となんぢやもんぢやの花あふぐ      川村研治

  長いこと物干し竿をつとめてる        広瀬ちえみ

  花言葉「ひみつ」といいし空木かな       渡辺信明


  熱中症は怖いが

    熱中するものが

      ないのは辛い             中内火星   


  ピカソよりもマティスよりもクレマチス     高橋かづき

  台湾の地図広げられ五月闇           岡村知昭

  てにをはの歯並びのよき葉月かな        野口 裕


   

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   撮影・芽夢野うのき「紅葉あかりを許せよ鬼の山の樹々」↑

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