鈴木和枝「主流と生きて老いと言う字忘れている」(「主流」No,654/創刊79周年記念誌上俳句大会)・・


 「主流」No.654(主流社)、特集は「●戦後80年―-『主流』創刊79周年記念(誌上)俳句大会」。以下に、愚生の特選句への評を以下に挙げておきたい。その余は、各選者の特選句をあげておこう。


  主流と生きて老いという字を忘れている   鈴木和枝(大井恒行選)

 「主流」創刊79周年記念俳句大会のこの上ない挨拶句として選んだ。挨拶といっても儀礼的にというのではない。戦後俳句の伴走者としての「主流」。まだまだコミットすべき課題が残されているからであろう。

 しかし、「老いと言う字を忘れている」のは、心にもない言い方だ。むしろ、はげしく「老」を宥めているのだ。志こそ讃えたい。


  麦秋の駅で昭和を待っていた        冨田 潤(安西 篤選)

  生も死もすなわちエロス白日傘      北邑あぶみ(長井 寛選)

  三月のライオンにある火の記憶      田中由美子(田中 陽選)

  地下鉄サリン事件30年の希薄       野谷真治(金澤ひろあき選)

  白魚の骨ひりひりと泳ぎけり        朴美代子(羽村美和子選)

  おもちゃの国にうぐいすが鳴いている   直井あまね(谷口慎也選)

  どの山も作り笑いはしていない       山岸文明(飯田史朗選)

  置き配重く青年の匂いする         鈴木和枝(秋尾 敏選)

  いちどしか死ねない白い白い枯野     宮本美津江(萩山栄一選)





★閑話休題・・つげ忠男×中里和人 二人展「東京原風景/サブが居た街」(於:立石BASE)9月21日(日)まで、ただし会期中の金・土・日・月 13時~18時開館・・




 チラシには、


1968年月刊漫画「ガロ」デビュー以来、劇画表現に新たな地平を切り拓き、海外でも高い評価を得る漫画家・つげ忠男と、風景の裏側に潜むマージナルな領域を凝視しつづける写真家・中里和人による画と写真のコラボレーション。

 本展開催地、葛飾立石は呑兵衛の聖地として知られ、つげが幼少・青春期を過ごした数多の名作群の舞台となった街。近年は駅前を中心に再開発が進み、街の佇まいを一変しようとしている。(中略)

 ちなみに会場となる立石BASEはかつてのブリキ工場をリノベーションしてカフェに再生そたもの。


 とあった。


 つげ忠男(つげ・ただお) 1941年、東京生まれ。

 中里和人(なかざと・かつひと) 1956年、三重県生まれ。


            

      撮影・中西ひろ美「乱れ 秋に本意のあらばこそ」↑

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