新元みつよ「するっていと何かい柿は笑うのかい」(『余談だが』)・・
新元みつよ句集『余談だが』(象の森書房)。帯文は坪内稔典、それには、
新元みつよさんの俳句は日常のさりげない言葉でできている。
そしてそれはちょっとした物語の種だ。
あれはあれあれはそうだわ春のあれ(春)
君はもう弾んだトマトだから好き(夏)
余談だが隣家の柿の熟す頃(秋)
そうか君ぴょんと兎になったのか(冬)
以上の四季の句をボクがことに好きな物語の種である。
これらを口ずさむと、なんだか童話のような世界がボクに開ける。(坪内稔典)
とある。また、著者「あとがき」には、
(前略)2024年[窓の会]のブログに、私の常連の句が載り母が、頑張っているね、良かったね。と喜んでくれた。
翌朝、92歳の母は痛みもなくスーと旅立った。
俳句頑張っているね。母との最後の会話になった。そんな時100句の句集シリーズの案内があり思わず参加の手を挙げた私。何をしても長続きしない私を母が、応援してくれているようなそんな気がしている。
とあった。ともあれ、愚生好みに偏するが、本集より、いくつかの句を挙げておこう。
昆陽池の亀が鳴くとか笑うとか みつよ
春の闇僕には僕の穴がある
夏の雨ざんざざんざと経を読む
はじまりはベッドの中の蟻一匹
待ち合わせいつも言い訳星月夜
いい話しなのにね柿はまだ渋い
日常を鞄に詰めて花野まで
付箋紙をピピっと秋に貼り付けた
★閑話休題・・新元みつよ「青田風フレイル講座わちゃわちゃと」(「窓」2025年9月秋号より)・・
新元みつよ(にいもと・みつよ) は1955年、岡山市生まれ。「窓の会」の常連。その「窓」の巻末あたりの「ブログ班:新しい場を拓く」によると、
(前略)今年六月、ねんてんさんは二年の任期を終えて主宰を辞任しました。「窓の会」は主宰を置かない俳句結社に転じたのですが、そのことによって、このブログもおのずと変化しました。(中略)
去る五月の全員集会で、主宰を辞める理由に触れてねんてんさんは、「窓の会」を持続する組織にする(これは発足時からの課題)こと、新しい活動了領域を開くこと、などを挙げました。現在は「晩節の言葉を磨く場」を標榜しており、「窓の会」は老人中心だが、その老人たちが若者を呼び寄せ、若い世代の活動の場が開かれてもよい、ともねんてんさんは話しました。(中略)
「窓の会」はインターネットを主な活動の場にしています。ブログ「窓と窓」はその活動の中心です。今後、いろんな工夫をしていきたいとブログ班のメンバーは考えています。
とあり、代表幹事は岡清秀、副代表幹事は坪内ねんてんさんが務めるとあった。
撮影・鈴木純一「木槿咲く五臓うつせば不老不死」↑
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