武田道代「艶話今も昔も西鶴忌」(第188回「吾亦紅句会」)・・



 8月22日(金)は、吾亦紅句会(於:立川市女性総合センター アイム)だった。兼題は「花火」。以下に一人一句を挙げておこう。

  被爆樹の悶へし樹形原爆忌             齋木和俊
  なんきんや「ビビディバビディブー」馬車になれ   関根幸子
  手に汗をタイブレークの甲子園          吉村自然坊
  花火果つ闇に流るる人の波             松谷栄喜
  山車うごく「疫病退散」古都の町         堀江ひで子
  夕焼けてオーボエ流る川流る            西村文子
  公園の遊具親子や涼新た              奥村和子 
  子供らの笑顔まぶしき夏休み           佐々木賢二
  芝棟の雲の窪みや秋の草             折原ミチ子
  花緒から覗くペデキュア赤花火           村上さら
  ホテル窓母少し笑み見た花火            笠井節子
  精進湖の冨士隠れをり敗戦日            須崎武尚
  玉の緒のさまよふ夜空流れ星            田村明通
  花火の音怖がる猫はもういない           武田道代
  四姉妹末は喜寿なり蚊遣香             佐藤幸子  
  八十年戦はノーモア全世界            三枝美枝子
  国士という言葉たまわる花火かな          大井恒行

 次回は、9月26日(金)、兼題は「夜長」。場所は、今月と同じ、立川市女性総合センター アイム。



 ★閑話休題・・小倉進作品集『軌跡 2025-1971』・・



 小倉進作品集『軌跡 2025-1971』(発行・小倉進/編集小倉佳子・頒価2000円)、巻末の「作品集刊行に寄せて」には、染谷滋(美術研究家)「進み続ける人」、酒井重良(群馬県美術会副会長)「小倉進・人と作品」、小倉佳子(長女)「夜の画家」。小倉進の「小文録」には、「絵と私の軌跡/大樹の年輪のように/伊勢崎に美術館を!」が収められている。



ここでは、長女・小倉佳子の「夜の画家」から、少しだが、引用紹介しておこう。


「父は趣味で……いや、趣味ではんしんですよね。ある意味、本業?いやいや、仕事ってわけじゃないんですけどね。何だろうな、生き方?まあ、ともかく、ずっと絵を描いています」

 父について聞かれると「看板屋です」のあとに、とりあえず、そんな説明をする。(中略)

 今は亡き曾祖父母、祖母はじめ、母、私、妹たrち、妹の夫たち、姪つぁち。そのほか叔母、叔父、親類縁者一同。小倉家の、及び小倉家に近しい人間は、誰もが父の描いた絵を見ており、絵を描く父の姿を見ている。そして見続けてきた。そう実に55年。「軌跡」ある時から自分の創作活動のテーマをこれと定めた父は、同じ題名を持つ多くの作品を生み出し、今回もそのいタイトルで画集を編んだわけだが、―-それを言うなら、。この軌(わだち)には、私たちの生も確実に乗っていることになる。


 とあった。


      撮影・中西ひろ美「夏の夕居場所さがしの誰かかな」↑

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