髙橋比呂子「ねむらさきそのさき消してはならぬ」(「LOTUS」第55号より)・・



高橋比呂子を送る「追悼句」↑

 「LOTUS」第55号(LOTUSの会)、特集は、先般亡くなられた「豈」同人でもあった「高橋比呂子追悼」。その扉に、


LOTUS同人高橋比呂子(本名 碩子・ひろこ)は/去る令和六年一一月二二日逝去いたしました/ここに生前 俳句有縁の方々から賜りましたご厚情にお礼も申し上げます/深く冥福を祈りたいと思います

         合掌 LOTUS発行人


 髙橋さんは一九四七年(昭和二二年)青森県野内村(現・青森市)生/共立薬科大学卒 薬剤師/一九七一年頃から句作を始める 「十和田」「紫」「吟遊」を経て一九九三年「豈」入会また「未定」同人/「LOTUS」には第三〇号(平成二七年・ニ〇一五・四)より参加/句集に『アマテラス』『ふらくたる』『風と楕円』『つがるからつゆいり』『風果』があり 他に共著数冊


 とある。記事は【高橋比呂子の俳句空間」として、酒巻英一郎「高橋比呂子百五十句撰」、また、無時空映「編集後記」には、古田嘉彦「高橋比呂子追悼」、三上泉「『まだ見ぬ世界への憧れ』高橋比呂子句集『風果』より」、無時空映「高橋比呂子の十六音」、三枝桂子「おーるすぱいすなみみょうりうけたまわり―ー『つがるからついり』の愉悦」、その他一句鑑賞など。また無時空映の「編集後記」には、


 LOTUS54号は同人、奥山人の追悼号でもあった。今回の55号を発行するまでに、三枝桂子、九堂夜想、志賀康が退会し、その間に髙橋比呂子が逝去した。


 とあった。愚生にとっては、昨年「秋田魁新報」に書いた高橋比呂子句集『風果』で喜んでいただいたのが最後になってしまった。哀悼!ともあれ、以下に本号より、いくつかの句を挙げておきたい。


  うつぼぐさうつらうつらと春を漕ぐ      丑丸敬史

  生類の記憶にかすか砂の月          表健太郎

  森の奥水物語生まれそむ           熊谷陽一

  

  眞夜にして

  氣儘頭巾を

  被りたる                 酒巻英一郎


  氷柱の水を奏でておりしかな         曾根 毅

   「あなたがたはこの世に属していません。」という

   主イエスの言葉によって自由になる。もとよりこ

   の世に適するようには作られなかった私だが。

  トンボに似ていた頃の独り言全部       古田嘉彦

  二枚貝裡に重なる夢うつつ          松本光雄

  満月は褪めた被写体浮遊する         三上 泉

  水書してあやとりかさこそさまざまなり    無時空映



       撮影・鈴木純一「梅雨あがる三角巾は干しにくい」↑

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