須崎武尚「雲の峰割って一光補陀落へ」(第187回「吾亦紅句会」)・・


 7月25日(金)は第187回「吾亦紅句会」(於:立川女性総合センター アイム)だった。兼題は「海開き」と先般、亡くなられた牟田英子の追悼句を、ということであった。以下に一人一句を挙げておきたい。


  芳一と七盛塚の鬼火盆            須崎武尚

  麦稈ロールの丘に立ち晩夏かな        齋木和俊

  山、羽球(うきゅう)、俳句を愛した夏の夕  関根幸子

  選挙ポスターならぶ笑顔の暑苦し       渡邉弘子

  こども等が我(われ)先沖へと海開き    三枝美枝子

  遊歩道細きつなぎ目ねこじゃらし      折原ミチ子

  山滴たる百名山へあと一歩         吉村自然坊

  母あらば鱧の一品並ぶころ          西村文子

  山よりも高い所に行ったのね         武田道代

  あでやかに旅立つ友や二重虹         奥村和子

  亡き友のメールは消せず走馬灯        佐藤幸子

  おにぎりに海の香がしてセレトニン      笠井節子

  緑陰の無言館佇みて無言          堀江ひで子

  世を拗ねて曲つてしまふ胡瓜かな       田村明通

  海開き神事の巫女の白衣(びゃくえ)立つ   村上さら

  ざわざわと風を呼ぶなり柿若葉       佐々木賢二

  虹渡り巡礼の旅今何処に           松谷栄喜  

  海開き潮湯治(しおとうじ)とて明治の世   大井恒行  



★閑話休題・・ 杉本青三郎「炎天の点となるべく打って出る」(第169回「豈」東京句会)・・


            有栖川公園にて、撮影・川崎果連↑

      

 7月26日(土)は、第169回「豈」東京句会(於:ありすいきききプラザ)だった。以下に一人一句を挙げておこう。 


  箱庭のあなたをそっとつまみ出す       川崎果連

  炎暑かなtattooの皮膚を着ています      早瀬恵子

  インベーダーゲーム勝たねばならぬ敗戦忌  羽村美和子

  身を任すしびれたゆたう蟬時雨       杉本青三郎

  炎昼のコップの中の目玉かな         仲村初穂

  想い出を海月の渦に落しけり        伊藤左知子

  走馬灯やがて鏡になる速さ          山本敏倖

  みんみんに付いて黄泉白昼夢        小湊こぎく

  

  朕は朕を朕へ

  開脚

  大花火                     凌


  半夏生草死刑執行ありやあり        大井恒行



    撮影・鈴木純一「目には見えなくても

            心は一直線上に並ぶはずである」↑

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