塚本邦雄「革命歌作詞家に凭りかかられてすこしづつ液化してゆくピアノ」(「塚本邦雄研究の会」より)・・
本日、5月25日は、「没後20年記念 塚本邦雄研究会」(主催:玲瓏の会)が神保町出版クラブビルホールで開催された。「玲瓏」発行人・塚本靑史の挨拶の後、講演は川野里子「妙子&邦雄『幻想の重量』」、そのクロストークに川野里子×尾崎まゆみ。休憩を挟んで「映像で蘇る塚本邦雄『NHKビッグ対談 飯田龍太×塚本邦雄』」。
パネルディスカッションは進行に魚村晋太郎、パネラーに髙良真実&上篠翔。会の終わりの質疑応答で、参加していた藤原龍一郎がよどみなく応答し、その他、かねて知り合いの江田浩司や歌人の方々の発言を聞いてたら、突然、発言を促されてしまった(大いなる誤算・・・)。
塚本靑史↑尾崎まゆみ×川野里子
それでも、実に何十年ぶりに、林和清に会えたのは嬉しかった。また、永島靖子さんも高齢ながら来られていた。ともあれ、会の内容は、濃密で、到底紹介しきれないので、レジメの中から、いくつかの歌を紹介しておきたい。
やぶれはてなほひたすらに生くる身のかなしみを刺す夕草雲雀 塚本邦雄
曼殊沙華のきりきりと咲く野に立てば身の底に湧く飢ゑもくれなゐ 〃
日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも 〃
かざし来し傘は盾かもしれぬこと気づきたるとき壊れてゐたり 佐藤モニカ
市(いち)に嘆くイエスの孤独 いつさいを掃き淨めたりし憤怒を思ふ 大口玲子
われの身にわが血はめぐりあたらしき神話のごとき朝がきてをり 横山未来子
アダムの日記、イブの日記読みたったひとつの顔を洗った 大森静佳
上篠翔&髙良真実 魚村晋太郎↑
来年の研究会は京都開催だそうである。帰りのお土産にもったいなくも、塚本邦雄第12歌集『天變の書』(書肆季節社)をいただいた(深謝!)帰宅して開いてみたら、一首と書名入りだった。
撮影・中西ひろ美「約束の欠片のごとく君影草」↑
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